何事に対しても一心不乱に取り組む情熱や責任感はどこでも歓迎されるものでしょう。
特に仕事に対して無我夢中で取り組むような人材は、企業にとって文句のないことかもしれません。
「仕事一筋」
責任感が強く、いかにも成果を上げそうなイメージではありますが、裏を返した表現を用いると「ワーカホリック(仕事中毒・仕事依存症)」とも言うことができます。
そして、そのような状態には副作用もあることを頭に置いておかなければなりません。
特に経営者ともなると、業務の忙しさと責任感から仕事が人生の大半を占めることは避けられないことかもしれません。
しかし、仕事以外の世界も持つことは、“経営者だからこそ”必要なこととも言えます。
コーチングの神様と呼ばれるマーシャル=ゴールドスミス氏の著書『Succession:Are You Ready?』では、CEOの重要な仕事して、下記の3つが挙げられています。
1.日々の事業運営
2.後継者の育成
3.自らの人生を素晴らしいものにすること
1と2はすぐに納得できるものですが、3つめは「自らの人生を素晴らしいものにすること」は少し浮いているような感じもします。
しかし、この「自らの人生を素晴らしいものにすること」こそが、「仕事以外の自分の世界を持つ」ことであり、「後継者の育成」にもつながることなのです。
後進を育成したあとは、もしくは育成のためにも権限委譲が必要になります。
しかし、経営者の中には一線を退いてもなお影響力を残そうとするタイプがいます。
影響力を残したいと思うのは、ビジネスの世界を一歩出ると居場所がない自分に気づくためではないでしょうか。
会社を去った後の人生までしっかりと設計できてこそ、自分が手にした権力を後進に託すことができます。
次にやりたいことが既にあるため、もとの権力にしがみつくこうと思わないのです。
経営者のみならず、仕事以外の世界に目を向けることは誰にとっても非常に重要なことです。
仕事以外の世界を持つことは、その人自身の人間としての幅を持たせることにもなれば、ビジネスマンとしての自分を客観視できる場にもなります。
様々な世界を知る人であれば、価値観の違う人の考え方も理解できることでしょう。
日本社会において定年年齢が伸びていくことを考えると、人生の中で仕事が占める時間的割合も伸びるかもしれません。
だからこそ、様々な世界に居味を持ち、色々な顔の自分と出会うことが、人生をより充実したものにしていくのではないでしょうか。