日記というか、ひとり言。

散歩をしていて、スポーツ見ていて、映画を見ていて、漫画を読んでいて思ったこと。

「成長」「裁量権」という言葉の背景

中小企業の新卒採用活動も、内定出し期間が第二次ピークに達する頃でしょうか。

ここから大手企業の本番という学生も多いと思います。

 

ここで、採用・就職活動で多く出てくる「成長」「裁量権」という言葉について触れてみます。

 

「うちに来たら成長できます」

「弊社は若い人でも裁量権を持って取り組んでもらいます」

という言葉。

2005年~2007年くらいのベンチャー・中小企業の採用活動において、常套句となっていたものですが、一時、影を潜めていました。

それは出世を望む20代が少なくなっていたことに関係します。

 

しかし最近になって、これらの言葉が、再び活況してきたように感じます。
それは「キャリア安全性」という言葉の生まれとともに。

これは、出世はしたいとは思わないけど、会社が傾いたり、自分と会社が合わないと感じたときに、どこでもやっていける力は欲しいという考えが背景です。

また、実力さえつければ、1社で出世するよりも、転職した方が年収を上げやすいという時代背景もあるでしょう。

そんな中で、「成長」できる環境を求め、「成長」のために「裁量権」を持たせてくれる会社を求める学生が増えてきている傾向があります。

 

見方を変えると、「会社に頼らない自分にならないために、会社を頼る」という都合の良い考えですが、これが今のキャリア感なんですよね。

「転職のために入社する」というものが。

 

もちろん、仕事を通じて成長したいという気持ちは、大事なものです。

その前向きさは、組織にとっても良い影響を与えます。

(露骨すぎなければ。)

 

ただ、就職活動をしている学生の方に覚えておいて欲しいのが、言葉には「背景」があるということ。

「背景」とは「真実」とも言い変えられるし、「裏」とも言えるものでもあること。

 

・10の仕事で1しか成長できない人と、20成長できる人がいる。

・スポーツと同じで、言われたことをやっているだけでは成長も評価もない。

・スポーツと同じで、地味なことへの取り組み方で、成長と評価がある。

・成長実感を感じる時期は人それぞれで、仕事内容によっても変わる。

・成長できるかは、会社よりも、最初の上司の影響が大きいい。

・人脈はバカにできない、コネを作る力も可愛気も能力。

・成長できた人だけが、裁量権をもらえる。

裁量権とは業務範囲(=チャンス)のこと、決定権ではない。

・社内の基準が、社会の共通認識ではない。

・「裁量権を持って」=「自分で考える範囲が多い」=「仕組み・標準化ができていない」

などなど。

社会人の方なら誰もが、もっと多くの「真実」と「裏」を教えてくれるでしょう。


特に言及したいのが、「裁量権を持って」=「自分で考える範囲が多い」=「仕組み・標準化ができていない」という点。

これは、すごく残酷だなと思うことがあります。

(ここからの話は、偏見と例外はありますが、傾向だと思って読んでください。)

 

キャリア安全性の視点に立って、話します。

仕組みがない中で、一生懸命頑張って成長できるのはせいぜい1,2年です。

そこからはやり方を変えるか、仕組み・標準化していく提案力が大事です。

当たり前のように感じるかもしれませんが、意外とその提案ができる人はほんの一握りです。

 

なぜか。

2年やったら3年。

3年やると、もう既存の仕事のやり方から脱却しにくくなります。

今のやり方が正解なんだと固定概念が生まれ、5年もすると自分と同じやり方でやらないと評価しない上司・先輩になっているためです。

そんな上司・先輩が、次々に固定概念を持つ人材を育てます。

若手人材は、裁量権をもらっても、決定権はないので。

途中で「このやり方は非効率だな」「こっちの仕事をした方がリターンが多いのでは?」と思え、提案力(=実績×説得力+可愛気)を持った一握りの人が、このスパイラルから外れていくことができます。

つまり、若いうちから裁量権を持たせてくれる会社が、キャリア安全性の高い会社ということではないんですね。

残酷なのは、これだけではありません。

ここまでの話を、市場価値の高い順番で見ると

①仕組みを作る人

②仕組みの無いで会社で仕事ができる人

③仕組みの無いで会社で仕事ができない人

というあまりにも面白みのない形になりますが、実はこの①と②の間にもう1階層あります。

それは「仕組みを知っている人」です。

キャリア安全性の視点に立っての話なので、「仕組みの無いで会社で仕事ができる人」「仕組みを知っている人」が転職をしたときのことをイメージします。

「仕組みの無いで会社で仕事ができる人」が他の会社に転職をすると、ある程度は評価されるかもしれませんが、会社の仕組みを変えるまでには行きつきません。

むしろ、今までの地道なスタイルがあっていただけで、その仕組み(システム)を使いこなすことができず、今までのような成果を出せないことがあります。

 

一方、「仕組みを知っている人」が「仕組みの有る会社」に転職したら、大きな変化はないかもしれません。

しかし、仕組みの使い方は知っています。

ただ、もし「仕組みの無い会社」に転職すると、「こんなやり方がありますよ」「こういう風にしたら効率化できます」と、その会社にとっては文明開化のようなインパクトのある提案ができるかもしれません。

だいたい仕組化された会社というのは、他のシステム導入や標準化がされているので、その知見を小出しにすると、毎年評価が上がります。

ネタ切れしたころには、転職をします。

そうなった時には「仕組みを知っている人」は、職務経歴書上で「仕組みを作る人」にランクアップしています。


これが私が、市場価値の高い順番が下記になると思う理由です。

①仕組みを作る人

②仕組みを知っている人

③仕組みの無いで会社で仕事ができる人

④仕組みの無いで会社で仕事ができない人

 

そして、これが「残酷」と書いた理由です。

仕事ができる人より、知っているだけの人の方が評価されることがあるという。


だからこそ、会社選びをするときに、「成長」「裁量権」という言葉の「真実」

「裏」を考えて欲しいです。

求職者売り手市場の今だからこそ。

 

 

あ、あと「来年4月に正式入社してから成長に向かって頑張るぞ」と思う人は、「成長」「裁量権」を謳う会社にはいかない方がいいですよ!