(c)2015 THE BOY AND THE BEAST FILM PARTNERS
映画 『バケモノの子』 を見てきました。
細田監督の作品は大好きですね。
キャラクターがみんな魅力的ですし、本作では渋谷の街と金網のリアルさに、妙に惹かれました。
力は強いが、性格は横暴で品格もないバケモノの熊徹。
人間の子供で、一人で生きていく強さを得るために、熊徹の弟子となった九太。
最初は衝突することが多かった二人に芽生える親子の絆が本作のテーマとなっています。
この二人の関係が作品の中心に描かれていますが、九太としては、冷たい態度で接する多々良(たたら)や、度々助言をくれた百秋坊(ひゃくしゅうぼう)も、親として写っていたことが、私には印象的でした。
親子の絆は1つではない。
人を育てるというのは、本当に大変なこと。
両親がいて、学校の先生がいて、地域のおじさんがいて、コンビニのおばちゃんがいて、兄弟がいる。
みんなそれぞれが、一人の子を育てるのに何らかの役割を果たしてくれている。
それこそ、「一人で育てる」なんて、おこがましいこと。
個人的な感想ですが、そんなことを、この作品を見て思いました。
大袈裟に感じるかもしれませんが、それは、子育てに限らないのではないでしょうか。
高校生や大学生も同じ。
そして、企業に属する社会人も同じことが言えます。
上司が部下の育成に責任を持つこと。
これは当然のことです。
でも、実際は、人育てというものは一人でできるものではありません。
本気で成長して欲しい、教えたいと思ったときほど、「教えたいけど、どう教えていいのかわからない。」と思うことのほうが普通ではないでしょうか。
一方で、責任感が強すぎる上司や先輩は、部下を育てるのに、自分一人の責任だと抱え込んでしまうことがあります。
自分の部下への責任感が強い人ほど、他の部下にはアンタッチャブルということもあるでしょう。
自分が教えられないことは、他人を頼ることはあってよいこと。
だからこそ、上司部下かかわらず、周囲に対して貢献できることをやる。
指導力向上研修、OJT研修など、上司個人向けの研修は巷に溢れています。
これらを受講することで、学ぶこと、内省することは多々あります。
ただ、本気で人の育成を考えるならば、個人ではなく、職場全体で「育てる」ことについて考える機会を持つことの方が重要と言えるかもしれません。
いや、時には、社外の人と接点、仕事以外の分野で、社内では得られない大きな成長を得ることもあります。
『バケモノの子』では、バケモノ世界で育った九太が、人間世界に戻り、多くのことを吸収しようとしたように。
人材育成は上司だけの責任ではありません。
また、教える、学ぶという関係も、上司から部下、師匠から弟子という一方通行なものではない。
そんなことも、この作品は語ってくれています。