先日、年始の休暇を利用してアメリカンフットボールの祭典、『ライスボウル』を観戦してきました。
社会人チャンピオンと学生チャンピオンが雌雄を決するこのゲーム。
実は生のアメフト観戦が初めてだった私にとっても非常にレベルの高いものだと感じることができるゲームでした。
結果的には、オービックシーガルズが立命館パンサーズを24対0という大差で下すという、社会人チームの貫禄を見せつけた試合となりました。
しかし、立命館大学も選手一人ひとりのプレーはもちろん、サポートスタッフの充実振りやチアリーディングバンドの完成度など、大舞台にふさわしいチームだと感じさせてくれました。
オービックシーガルズが勝利をつかんだ要因の一つに、オービックの司令塔、QBの菅原選手の目覚しい活躍があったことは素人の私にも明白なものでした。
プレッシャーをかけられても冷静なパスを出し、出しどころが無いと見れば自らのランで打開する。
何よりも危機回避能力とも言えるような、数秒の中での状況判断力が非常に優れている選手だと感じました。
「判断力」は業種・職種関わらず、特にリーダシップを期待される方に、強く求め
られている要素です。
この「判断力」に関して、東芝の西田会長は“グローバル化時代の企業経営”をテーマとした講演の中で次のように語っています。
「企業経営者には、決断力や実行力が重要という人がいる。
それは正しいことだが、それ以前に、判断することが大切。
判断を間違えば、決断を間違え、実行が間違うことになり、大変なことになる。
しかも、判断は、限られた時間、限られた情報のなかで行わなくてはならない。
もし、十分な情報が入ったとしたら、その時点でゲームは終わっている。
では、過去の経験が通用しなくなり、知識にも限界があり、情報も限られたものでしかないなかで、最適な判断をするにはどうしたらいいか。
それは判断する力を磨くしかない。日本には、そうした教育が必要である。
仮説を立ててシミュレーションすること、独りよがりではなく客観的に判断すること、さまざまなステークホルダーの立場で考えることが必要である。」
「仮説を立てること」
「様々な立場で考えること」
なるほど、判断をする上で非常に重要なことです。
僭越ながらもう一つ加えるとしたら、
「目的に立ち返ること」
これも判断する上で、重要な観点といえるのではないでしょうか?
その判断ベストかどうかは、やはり目的と合っているのか?
目的の達成に寄与したのか?
という点が、問われるところです。
アメフトの場合、“勝利”という大きな目的を目指して、オフェンスの一つのターンの中でも「点を取るため」「1ヤード進むため」の攻め方をする場合もあれば、「次にディフェンスしやすくするため」など、時には、点を取ることを第一としないケースも多くあります。
「目的に立ち返る」とは「何のため?」「誰のため?」を振り返ること。
プロジェクトを進めていく中で、以外と忘れがちになってしまうこの観点。
西田会長がおっしゃるように、「判断力」はあらゆる組織のリーダーに、今後一層求められてくる要素です。
そして、不確実な今の時代だからこそ、少ない時間・情報のなかでよりベストといえる判断をするためには「目的に立ち返る」ことが重要になるのです。
オービックシーガルズ、優勝おめでとうございます!
菅原選手、MVP受賞おめでとうございます!