部下を持たない管理職と言うと、「担当課長」「課長代理」などの肩書きは付きつつも、役割としては非管理職。
つまりプレイヤーとほぼ変わらないことが多いですよね。
「専門性の高さを活かして」という意味合いも少なからずあるのでしょうが、その実態は年功序列の部下によるものが大きいものです。
ポスト不足に悩む企業の打ち手の一つとも言えます。
しかし昨今、そのような“部下を持たない管理職”の位置づけに変化が見られるようになってきました。
ある保険会社では、支店ごとの独立採算をとっていて、かつチームで動いていますが、その内の一人は採用(スカウト)を専門にしています。
もとは保険のセールスマンだった人をチームの中で一人、採用のみを担ってもらうようにしたと言います。
採用を担う本人にやりがいを聞くと、
「チームとして目標を起きかけるにあたり、採用という面からその目標達成、チームの成長に関わっているという感覚でいられる。チームが目標達成すると非常に嬉しい」
と語ってくれました。
チームとしても本人の適性やチーム構成を考えての最適な選択だと言います。
別の業種の企業でも今期から“部下を持たない管理職”の位置づけを明確にする企業があります。
部長や本部長づきで、“特命業務”と呼ばれるミッションを担う。
その特命業務は、業務改善や職場環境改善、教育など多岐にわたるが、ときには他部署の同じ特命業務とも連携を図りながら、組織間の横串を刺す役割も担う。
という形で。
もともと現場での育成力が弱かったという背景に、“直接的な利益を上げるだけが役割ではない。色々な能力の活かし方があっていい”というポリシーが加わって、生まれた組織構成案です。
実施してみると、各職場の課題にあった取り組みが、ができていることや、職場間での協力関係が生まれたなど、嬉しい変化が見られるようになりました。
部下を持つ管理職については、育成や業務改善に関する明確な協力者ができたとともに、「自分が担うのは、まずは予算達成」と、責任の明確化にもつながりました。
2:6:2という法則で、上位20%が組織を引っ張っているという話もありますが、組織の引っ張り方は一通りではありません。
何でもできる管理職を育てるのが容易ではないのであれば、個々の役割・責任を明確にすることが、組織運営の肝と言えます。
個性・能力の高いメンバーがチームワークを発揮する『アベンジャーズ』