日記というか、ひとり言。

散歩をしていて、スポーツ見ていて、映画を見ていて、漫画を読んでいて思ったこと。

目標設定から見る組織運営の大きな課題

ある企業では、評価制度に絡めて「チームごとの目標共有会」を行っています。

目標管理制度の中で立てた目標を、チーム内で共有し、フィードバックし合うという、その名の通りのものです。

よくありそうで、意外と導入されていないこの施策。

チームの人数は3~10人とバラバラで、人数の多いチームだと2時間×2回になるところもあるそうですが、効果は絶大とのことです。

目標共有会



さて、その効果とは何なのか?



まず、目標実現のためのアクション・施策の具体性が格段に上がります。

個人で考えると、発想が凝り固まってしまい、いつもと同じ仕事の進め方で流れとなってしまいます。

出たとしても、回数を増やすとか、ターゲット層を広げるとかそんなもんです。

上司と面談をしたとしても、なんとなく予定調和で終わってしまうこともしばしば。



ところが、同じ目標でも同僚から見ると

「こんなこともできるのでは?」

「これ続けても効果薄いんじゃない?」

「あの仕事の進め方変えたほうがいいんじゃないかな」

なんてフィードバックがもらえます。

他人事だから言える、なんてこともあれば、上司と違って、同じ仕事をしている人だから気づくこともあります。



営業職の方などは、目標数値が違うだけで、目標テーマも営業手法も同じであり、そんな共有しても意味がないと思われるかもしれません。

それでも、目標の達成度に違いが出てくるのは、成績が良い人は見えない努力や工夫をしているからなんですよね。

そういったノウハウを共有しながら、組織としての目標を達成していくことが重要です。



「そんなアドバイスは日常でやればいい」という意見もあるでしょうが、意外と遠慮している人が多いものです。

特に同じ立場(階層)の人にアドバイスすることに関して。

誰に対しての遠慮かと言うと、本人に対してはもちろん、上司に対しても遠慮しているんですよね。

普段、上司が教えているのに、余計な口を出してはいけないのではないかと。

(自分も余計なことはしたくないし。。。という気持ちも)



また、他の人から見て「工夫」と感じることも、本人にとっては「当たり前のこと」と思い込んでいて、「アドバイスするほどのことでもない」と自己判断している場合もあります。



目標共有会と称しながら、実はノウハウ共有会となり、チーム全体の成長を図っているのです。

こういった機会を年2回程実施していくうちに、ノウハウ共有や教え合うといったことが当たり前の風土となっていきます。



もう1つ重要な視点があります。「チーム全体」という表現を伝えましたが、そもそも個人目標はチーム目標を達成するための役割分担の結果です。

目標設定の流れ



営業の数値目標はわかりやすいですね。

個々に落とし込まれた売上を目標として、頑張っていければ良いでしょう。
(最近ではKPIを目標とする企業も多いですが)

もちろん、お互いに切磋琢磨し、アドバイスし合いながら。

目標設定の流れ(売上)



ただ、業務改善、新規事業立案、全体のリードタイム向上などの目標は一人で頑張っても効果は芳しくないものです。

こういった目標こそ、チームで共有しながら進めることが重要です。



いや、「共有」という言葉は適切ではないかもしれません。

「チームの目標を達成するために個々がどんな役割を持って取り組むか、そしてお互いにどのような協力ができるか」を考えるという方が適切でしょう。



チーム目標を達成するために、誰が何をするかを考える。

当たり前のことを言っているかもしれませんが、目標管理において、これができている職場がほとんどない。



そして、これが目標設定における、いや組織運営上の大きな課題だと私は考えます。





繰り返しになりますが、そもそも目標設定というのは上位目標から降りてきます。

全社目標を達成するために、各部署が何をやるのか。

部の目標を達成するために、各チームが何をやるのか。

チームの目標を達成するために、個々人が何をやるのか。



こう考えて目標を設定することで、各々が役割を果たした時に、組織目標が達成されるようになります。

もちろん、全員が目標達成できないこともありますから、少しずつバッファを見ておくこと必要はあります。



こう考えて目標を設定することで、目標に書かれていないことでも取り組もうとする、他者に協力しようとする組織貢献の姿勢が醸成されていくのです。





しかし、その実態は、、、

各々が役割を成果を出した時に、組織目標が達成されるかどうかわからないものがあまりにも多い。



これは想像ですが、各人の目標設定をする際は、あまり組織目標を意識していないのではないでしょうか。



考えるのは目標数値が何%増したかということ。

それに合わせて自分の目標の達成水準も決め、また、苦手分野の克服を成長目標として掲げる。

その他、最近職場で課題として上がっていることに、どうか取り組むかを個別に上司と考える。



しかし、各人が思い思いのものを設定するから、チームとしての相乗効果が見られることは少ないものです。



また、組織目標も達成基準が曖昧で、どう貢献していったら良いかわからないものが非常に多いことも問題です。



・組織目標を達成するための個人目標になっていない。

・個人の目標達成のために、協力しようとしていない(むしろ目標を知ってさえいない!?)



目標管理は組織力を向上させるはずのツールであるにも関わらず、上記のような背景から、その効果を十分に発揮できていません。

むしろ、個人目標ばかりを追いかけ、協力関係を壊すことにつながっています。





多くの企業で、目標の達成度とプロセスやバリューを評価する仕組みになっています。

そのプロセスやバリューを評価する項目には、「協調性」「チームワーク」といったものが入っています。

重要な要素なのですが、各々の目標設定のためにどう強力するかを考えるプロセスや機会がないんですね。



つまり、人事制度で「協調性」「チームワーク」を求めながらも、人事制度は「協調性」「チームワーク」を発揮できる仕組みになっていないのです。

こういう人事制度、驚くほど多いものです。



制度自体を変えることは手間がかかるかもしれませんが、目標共有会のように運用方法を少し工夫するだけで大きな変化を見込むことができます。





目標共有会について、「よくありそうで、意外と導入されていないこの施策」と述べました。

その理由として、現場も人事も

「忙しくてそんな時間とってられない」

「面倒くさそう」

と思われている節があります。



はい、確かに面倒かもしれません。

しかし、ゴールや計画をしっかりと練らずに、思った通りに成功することなどありません。

そして、人の人生を左右する評価において、手間のかからないことはありません。

ぜひ、試して頂ければと思います。