LGBTQ+の人々が最も悩みについてP&Gジャパンが調査しました。
この調査で興味深いのは、当事者悩みだけでなく、非当事者が想像している困りごとについても比較していることで、わかることは、実際の悩みと非当事者の想像にはギャップがあるということです。
実際の悩みと非当事者の想像にはギャップがあるというのは当たり前のことですが、この表を見ると、非当事者が想像するのは表層的なものであり、当事者の悩みは深層的なものであることを感じます。
表層的と書くのは少し軽薄かもしれませんが、要するに「目に見える」ことだけを困りごととして考えてしまっているとうことです。
数値的なものはわかりませんが、この表を見たときに「理解の層が違うんだな」と感じた。
当事者でないと内面的なものはわからない。
これは仕方のないことで、想像による当事者意識には限界があります。
大事なことは、「当事者にならないとわからないことの方が多い」ということを認識する、自戒することです。
わかったつもりにならないこと。
簡単にわかると思わないこと。
店舗教育では「お客様意識を持って」ということをよく聞きますが、これがなかなか本人に理解されません。
口でどれだけ指導しようと、本人はお客様のことをわかったつもりになっているからです。
経験を積むことで高まるようにも感じる周囲への理解ですが、一方で経験によって理解が薄れることもあります。
店舗責任者だった人が、出世して本部に配置されるようになり、店舗目線での当事者意識が薄れてしまうこと。
ベテラン社員が、若手の悩みや混乱に気づけなくなってしまうことなど。
自分も通った道のはずなのに。
P&Gジャパンでは、これまでの取り組みや今回の調査を元に、職場でLGBTQの「アライ(理解者・支援者)」の輪を広げる「アライ育成研修」を開発するそうです。
「異なる考え方を理解しよう」というご指導だけでは「アライ(理解者・支援者)」は生まれないと感じたのでしょう。
「周囲の気持ちを理解することが大事だよ」という正論よりも、「周囲の気持ちを理解できると思わない方が良い」という皮肉の方が有用かもしれません。
「理解できる」と思っているから慢心や押しつけが生まれるのだから。