多くの企業で、「新事業創出」「イノベーション創出」といったことが求められています。
新しいものを生み出さなければ、業界内でのポジションがすぐに変わってしまう。
いや、それどころか企業存続すら危ういのが、どの業界でも言えることです。
この事は周知であるにも関わらず、実際には、新しいものが継続的に生まれている企業は少ないようです。
その背景として、私が感じるのは、新しいことを生み出す前提としての「変える姿勢」が弱いということです。
商品やサービスをより良いものに変える以前に、仕事の進め方、情報共有の方法、会議の進め方、組織のあり方、周囲との接し方。
そういったものを変えることに対する抵抗感が非常に強いと感じます。
むしろ、商品・サービス以上に、これらのものを変えることの方が敬遠されがちです。
商品サービスの改善は「やらなくてはいけない仕事」であり、仕事の進め方の改善は「余計な仕事」と捉えられている面もあるでしょう。
ただし、仕事の進め方、情報共有の方法、会議の進め方、組織のあり方、周囲との接し方を変えることを厭うような風土では、新しいものを生み出すことも難しいでしょう。
慣れてしまうと、いつもの仕事の進め方が最適と感じてしまいます。
そういったものに、新鮮な目線を与えるのが、人事異動であったり、中途採用だったりします。
ところが、違和感を持ったり、非効率さを感じたりした中途入社者も、「波風立てるくらいなら」とやり過ごしてしまいます。
結果的に、その職場のやり方、慣習に染まっていってしまいます。
新しい人が入ってくるというのは、改善の最大のチャンスなんですね。
受け入れる企業や職場も、外からの目線や、外部のノウハウを期待しているにも関わらず、実際のところは今までのやり方に口を出されることを嫌ってしまう。
その空気が、「現状維持がベスト」と言っているような風土を作ってしまっています。
いっそのこと、「中途入社者は3ヶ月で職場・会社の改善案を10個以上出すこと」みたいなルールをつくってしまえば良いとも感じます。
そのくらいのことをしないと、簡単に染まってしまいます。
個々の意識に任せるのではなく、何らかの施策やルールづくりから風土づくりに繋げることが求められます。
変えていくことすべてが、改善につながるとは限りません。
時には、改悪となることもあるでしょう。
それでも、そのことによって従来のやり方の何が良かったのかが明確になり、その部分をより活かそうと思えます。
まず自分自身が変わること厭わないこと。
そういった個の集まりからこそ、新しい商品・サービスも生まれてくるでしょう。
Googleの理念である、「Never settle for the best.」
「“最高” に甘んじない」と訳せるこの言葉は、Googleのみならず、多くの組織で、指針としたいものです。