以前、『実学か、研修か、という二律背反』というブログで、研修の目的は大別すると下記の3つだと書きました。
〇業務の精度を高める
〇日々の変化を内省する
〇見えていない視野へ広げる
どのような目的にしろ、行動実践、行動改善に繋がっていくことが重要です。
しかし、1日の研修で全員が実践につなげられるわけではありません。
実施側として、匙を投げるわけではなく、それが現実だと思います。
だからこそ、研修企画時にフォロー施策が重要な意味合いを占めてきます。
管理職の役割認識研修のようなオーソドックスなものほど、実践が難しい。
自分の役割と考えられていなかったこと、自分が苦手と感じていることなんかを実践してもらうものですから。
時間の使い方や仕事のやり方を変えないといけないことなので、「気づくことができたら、即実践」とは行きません。
また、大きな気づきがあった時というのは高揚感もあって、壮大なことをイメージし、壮大なアクションプランを立ててしまっていたりします。
でも、そういうものほど、なかなか実践されないということも多くの方が感じることでしょう。
そういったことが考えられる中、人事の方に行っていただきたい、おすすめのフォロー施策があります。
それは、受講後一定期間後に受講生とコミュニケーションを取ることです。
「おすすめ」と書きながら、なんとも当たり前のことなのですが、これ、結構重要です。
人に話すことで、その時の学びを気づきに落とし込むこともできます。
一定期間後だから気づくことができることもあります。
「研修で決めたこと、実践されました?」
「やってみてどうでした?」
「どうやったら、実践できそうですか?」
「やり方を変えてみてもいいかもしれないですね」
といった具合に。
こういうコミュニケーションをとると確実に研修効果が上がります。
他にも色々なフォロー施策は考えられますが、「やっておいてください」の通達だけだと“押し付け”になってしまい、“やったふり”で終わってしまいます。
こういった現場に出向く施策は人事がプッシュ役であるとともに、サポート役にも感じてもらえるんですよね。
実践できない理由があれば取り除く方法を一緒に考える。
また、他の人がうまくいった事例を共有してくれる役割として。
「研修どうでした?」「実践してみました?」くらいのヒアリング役だと、あまり意味がないかもしれません。
たぶん、実践できない理由ができてきて終わるだけです。
さらに言うと、人事はプッシュ・サポート役であるとともに、メディア役にもなってもらいたいです。
「他の人がうまくいった事例を共有してくれる」と先述しましたが、まさにこれが重要です。
「大事なことに気づいた気はするけれど、どうやって実践したらいいのかわからない」
「うちの業務は特殊だから応用は難しい」
という声も出やすいのですが、受講生の中には上手く実践に繋げている人もいます。
(全員が実践に繋げられていないようなら、研修コンセプト・プログラム自体見直さないといけないですね)
そういった事例を共有していくことで、全体としての実践も促進され、そして、こういうコミュニケーションを人事が継続することで、「共有の文化」も生まれてきます。
研修の件だけでなく、営業ノウハウやマネジメントノウハウなどについても自然と共有されるような文化が。
研修をやって終わりということも少なくありません。
しかし、多くの方がご存知の通り、人材育成は一朝一夕に行くものではなく、そして研修というものも育成施策の一つに過ぎません。
逆に、色々な工夫を凝らしてフォローしている企業も多くなってきているようです。
ただ、直接のコミュニケーションという地道な一手が“組織作りの上で重要な人事の役割である”ことも、心に留めたいことです。