評価者研修を実施していて思いました。
管理職に必要なマネジメントスキルは、評価者研修に詰まっているのではないかと。
もちろん、管理職=評価者であることがほとんどであるため、これは「当たり前でしょ」と言えることなのですが、人事制度運用が組織運営、業務マネジメントに直結していると認識している管理職は少ないように感じます。
評価制度は単なる処遇を決定するツールではなく、部下の成長を支援し、目標達成への道を最短距離で走るためにマネジメントツールともなります。
例えば、目標管理。
現在では多くの企業が導入しているという制度ですが、この目標管理こそ、まさに業務マネジメントのために生まれたものです。
期初に組織目標の達成につながる、個人の目標を設定し、期中にPDCAを繰り返し、プロセスの修正を図りながら、個々の目標達成を上司が支援していく。
そして、個々の目標達成が組織の目標達成になります。
そのPDCAの過程の中で、部下は仕事の進め方や業務改善を学び、また適切な目標の立て方を身に付けていきます。
しかし、各企業の現場を見てみると、期初に目標を伝達・設定する。
あとは期初に達成したか、否かを見るだけという管理職が、驚くほど多いものです。
期中で進捗は確認するとしても、プロセスの修正や動機づけを行うこと滅多にないなど。
また、期末のフィードバック面談こそ、育成の機会であり、学んだコーチングやらアファメーションやらを十分に活かすことができます。
とは言え、PDCAサイクルやコーチングスキルは普通の管理職研修でみっちりと学んだほうが良いという意見もあるでしょう。
確かにそうかもしれません。
しかし、学んだマネジメントスキルは、なかなか職場で実践されにくいという実状も現実ではないでしょうか。
これは管理職に学びを実践する気がないのではなく、どんな場面で実践すればよいのか分からいないという理由もあります。
その点で行くと、評価制度は面談、目標設定等実践の機会が、目の前に広がっています。
もちろん、そういう場を設けるかどうかは会社の運用フローにもよりますが。
アウトプットの機会が明確であるといいうのな、学ぶ者にとって学習効果を高めることは言うまでもありません。
そして、人事制度は会社の、事業環境だけでなく、経営者の想いが反映されて構築されたものです(と願います)。
定性評価項目や、等級定義など、社員に大事にしてもらいたい言葉が随所に散りばめられています。
つまり、人事性度の適正な運用は、経営者の考えを社員に浸透させるプロセスの1つであるのです。
もちろん、組織風土やコンプライアンスなど、評価者研修では学ばない内容もあるので、「評価者研修だけしかやらない」というのは言い過ぎでしょう。
それでも繰り返し丹念にやってほしい内容であることには違いありません。
ある企業では、クオーターごとに3~4時間の評価者研修を実施しています。
評価者と言うよりも管理職としての意識が高まり、同時にマネジメントについての問題意識を常に持たせるばとなっています。
マネジメントの基礎スキルを学びたいというニーズは、時として曖昧なものであることが多いもの。
そうであるならば、評価者研修を充実させていくことが管理職育成の近道になると、私はお勧めします。