新入社員研修も大詰め、もしくは中締めを迎えるころでしょうか。
新入社員の受け入れにあたっては、本人達の育成はもちろんのこと、 裏では受け入れ側である職場の準備も進めていることでしょう。
その一つに“OJT担当者の教育”があります。
まさに先日、ある企業様でOJT担当者研修を行ってきたのですが、その中で伝えている「OJT担当者の3つの顔」について、ご紹介したいと思います。
OJT担当者は、“新入社員をマンツーマンで指導育成する先輩社員”とだけ捉えられることが多いようです。
もちろんそのような育成者としての役割を期待されていることは言うまでもありませんが、OJT担当者はこの他に3つの顔を期待されていると、私は感じています。
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【OJT担当者の3つの顔】
① お手本 としての顔
② 相談者 としての顔
③ 組織の連結ピン としての顔
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① お手本としての顔
ある受講生の気づきです。
「自分が働く姿は思った以上に後輩から見られている。
自分自身が、楽しんで仕事に取り組むこと。
まずはこのことで後輩にメッセージしていきたい。」
本当にその通りです。
人間は耳で聞いたこと以上に、見て感じたことを記憶しています。
それは、技術や知識ではなく、特に仕事に対する姿勢・スタンスに対して言えることです。
「完璧な技術を見せろ」「正確な知識を持っているように振舞え」と言うのではありません。
先述した受講生の言葉にあったように、
「自分自身が、楽しんで仕事に取り組むこと」
まずは、それが一番大事なのです。
② 相談者としての顔
教える、教わるという関係の中ですが、ときに「対等な立場になる」 「同じ目線を持つ」という姿勢が仕事を教えるにあたって非常に重要になります。
OJT「自分も同じだった」「こんな大変な失敗をした」と共通体験を持つことを話すことや、共感を示すことは、新入社員の行動をあと押するのです。
新入社員にとって、新しい仕事を覚えること以上に、新しい環境や人間関係に慣れることの方が大変かもしれません。
上司よりも近い年齢で、いつもそばでを見てくれているOJT担当者だからこそ、新入社員に求められることがあるのです。
③ 組織の連結ピンとしての顔
冒頭でもお伝えしたように、OJT担当者はしばしば職場に配属された“新入社員をマンツーマンで指導育成する先輩社員”とだけ捉えられがちです。
しかし、本来の姿としては、
“上手に周囲を巻き込んで、仕事を通じて後輩の育成を進める存在”
と考えた方が、適切かもしれません。
OJT担当者と言えども、教える分野によっては苦手なこともあるでしょう。また、同じ職場にその分野の第一人者がいることもあり ます。
職場を巻き込んで新人を育成していくことは、OJT担当者が一人で教えるよりも効率的ですし、職場に早く馴染むきっかけともなり ます。
また、その結果として、新人・後輩の成長にやりがいを感じ、職場の活性化、育成風土の醸成にもつながっていくのです。
職場全体の育成風土が、新人・後輩の安心感を生み、仕事への意欲的な取り組み姿勢を生み出していきます。
OJT担当者となる方は、新人の育成を1人で抱え込むのではなく、職場全体のテーマとして考え、自分はその「連結ピン」、もしくは コーディネーターとなることが本来の姿と言えるのではないでしょうか。
教えるとは 希望を語ること
学ぶとは 誠実を胸に刻むこと
byアラゴン