新入社員入社の時期。
各社で新入社員研修が行われている時期でもあると思います。
一方で、教えている人事の皆様や職場の先輩方も、そのフレッシュさから、多くを気づかされているのではないでしょうか。
企業における社員教育と聞くと、新入社員研修のように会議室や研修会場に対象となる人を集めて行う、集合研修がすぐにイメージされます。
しかし、実際には企業内教育には様々なアプローチがあり、単体ではなく、複合的に組み合わせることで、その効果も高まっていきます。
「改めて」になりますが、今回は企業内教育の形態とその効果的なあり方について触れていきたいと思います。
まず、企業内教育の形態というのは下記の3つに大別されます。
◆ OJT
職場での仕事を通じた教育のことです。
通常業務を行う過程において、上司や先輩からのサポートを受けながら業務遂行に必要な知識やスキルを習得します。
◆ 集合研修(Off-JT)
通常業務から離れて実施する集合研修やセミナーなどが該当し、日常の業務遂行に必要な一般的な知識やスキルを習得することが主な目的となります。
◆ 自己啓発
自発的な意志において、通常業務と離れた場所や時間を使って、業務に直接・間接的に役立つ知識・教養やスキルを身に付けます。
「仕事を通じて学ぶ」という考えに異論はありませんが、だからと言って、OJTという名の放任主義になってはいけません。
上記の3つにはそれぞれ長所と短所があるため、目的に応じた使い分けや組み合わせが重要です。
究極的には、自学自習の自己啓発によって身につけていくことが望ましいことでしょう。
学習とは、本来、人間は自力で学んでいくもので、本人の意欲や心がけがあってこそのものであるためです。
しかし、学習を本人の自己啓発のみに任せておくのではなく、組織のメンバーとして、その組織が求める知識・スキル・態度をより早く、確実に身につけさせるための指導や教育が必要になってきます。
また、「成人の能力開発の70%以上は、仕事の経験による」と言われているように、その良質な経験を積むことが、優れた人材を育成する鍵となります。
したがって、職場における教育の第一は「OJT」、つまり職場における上司や先輩社員による機会の提供やフィードバック、手本となる行動。
そして、社員が“自律的に学ぶ場作り”であると言えます。
自力で確実に学べる範囲のことは自己啓発に任せ、その限界を超えることについては、まずOJTによって学ばせることが良いでしょう。
しかし、OJTにも限界があります。
同一内容の知識・技能を教えるのであれば、集合研修の方が効率的ですし、優れた講師を活用して体系的、理論的な教育を行うこともできます。
もちろん、集合研修で学んだことも職場での実践が無ければ、学びの定着にはつながりません。
逆に職場での経験からで学んだことを、職場以外の場で振り返り、成功要因や失敗要因を整理することで、さらに次の行動へとつながっていきます。(経験の内省)
このように、「OJT」「集合研修」「自己啓発」の3本柱が相互に補完し合って初めて職場のメンバーの戦力化が図られます。
そして、各職場の上長や人事部門がこの連携を意識しつつ、部下育成の一環としてOJTを中心に据えていくことが必要とされます。
「経験は最良の教師である ただし、授業料が高すぎる。」
カーライル