「大企業で働いたからと言って、多くの人と働くわけでもない。」
就職活動のときに聞き、今でも印象に残っている言葉です。
大企業に勤めたとしても、仕事上で直接接する人というのは、限られているということでした。
仕事内容やその人の働き方は異なるため、このことは一概に言えることではありません。
ただ、少し意味合いは違うのですが、規模がどれだけ大きくても、経験・ノウハウの共有が限定的になっている組織が非常に多い。
このことは、私もコンサルティングをしていて、強く感じたことであります。
どれだけ多くの社員が働いていても、どれだけの支社や部署があっても。
ノウハウがその職場だけで完結してしまっている。
そんなことに、心当たりはないでしょうか。
新規営業、顧客フォロー、業務改善、部下のマネジメント、理念浸透など。
様々な成功事例が、他の職場には転がっているのに、それを知ろうとすることや、他に広げようとする動きが非常に少ないと感じます。
共有することが面倒だと思ってしまう。
自分たちの業務は特殊だと決めつけてしまっている。
ものを見る目が否定的になり、見習うべきことが目に入ってこない。
子どもの頃から大人の行動を観察しながら、成長してきたはずなのに。
いつの間にか、他の人の良いところを見習うということが苦手になってきてしまったようです。
さらに、他の職場にあるノウハウを吸収しようとしないと、その職場のトップである上司のノウハウ・経験のみが絶対的なものになってしまいます。
たとえうまくいかなくなったとしても、他の方法を取り入れようとする姿勢がさらに弱くなってしまいます。
不思議なのは、他社の戦略の模倣は得意なのに、社内の成功事例の共有ができないという矛盾です。
大きな差別化を生むことができない戦略です。
上手くいていることを見つけ、広げる。
イノベーションの必要性が多くの企業で解かれていますが、まずは、これから始めることが、地道でありながら、確実な道ではないでしょうか。