思いのほか、部下は上司や先輩社員のことを見ています。
これは、本人に「見ている」という自覚がなくとも、です。
いつの間にか脳に刷り込まれているものです。
厄介なのは、模倣して欲しくないことほど、簡単に模倣されやすいということなんですね。
ダラダラした時間の使い方や、手抜きの方法、行き当たりばったりの仕事の進め方、そして部下を追い込むマネジメント方法など。
これは楽だったり、気持ちよかったりするものなので、脳に刷り込まれた後、現象化しやすいものなのです。
しかし、細かい仕事の手順や押さえておくべきポイントは、「背中で見せよう」「勝手に盗め」なんて思ってはダメです。
脳には刷り込まれていても、「面倒」というフィルターがアウトプットを妨げています。
しっかり言葉で伝えて、本人が理解したかを確認しないと、「教えた」「初めて聞いた」の水掛け論になってしまいます。
一方で、姿勢のような言葉で表しにくいもの。
特に「勉強する姿勢を持て」「もっと成長してもらわないと」「自分を変えろ」。
これはいくら言葉で言ってもダメです。
と言うか押し付けては、逆に学ぶ姿勢を損なうだけです。
大事なのは、成長する姿勢を模倣させることです。
つまり、上司・先輩社員がいつまでも成長する姿勢を持つことです。
部下の成長が芳しくないという話。
もちろん、本人の学習メモリの問題もあるでしょうが、成長する必要性をあまり感じていないのかもしれません。
何だかんだ会社が現状維持にとどまっている。
職場では新しいことをやる事を嫌う。
上司は過去の事例・やり方を教えるだけで、自分が成長しようとする姿勢がない。
もちろん、過去の事例・やり方を教えることは上司の役割の1つです。
同時に、本人の成長意欲を高めるということも上司の役割です。
そして、本人の成長意欲を高めるために大切なのが、上司自身が成長する姿、自分の何かを変える姿勢を見せることです。
感覚値ですが、上の立場になるほど研修嫌いな人が多くいるような気がします。
経験からくる持論があるだけに、他の考え方を受け入れ難くもなっているでしょう。
年齢を重ねるごとに、新しい出会いが億劫になってくることもあるでしょう。
部下は、そういった現状維持の姿勢を見ています。
見習おうと思わなくとも、知らず知らずのうちに脳に刷り込んでいます。
部下が成長しない。
そう思ったとき、もしかしたら上司自身が現状にとどまっているフェーズにあるのかもしれません。