「ロボットが接客するホテル」として話題を集めるハウステンボスの『変なホテル』。
人が行っていた業務の7割程度を自動化して人件費を1/3に削減し、世界最高の生産性を追求することで、手ごろな価格で快適に泊まれるローコストホテルを目指しての試みです。
チェックイン、チェックアウトの手続きを行う3体のフロントロボット、客室まで荷物を運ぶポーターロボット。
客室には、室内にタブレット端末と、照明のオンオフやアラームを設定できるコンシェルジュロボットがついています。
ロッカーへの荷物搬入ロボットや、客室の出入りも顔認証システムを搭載しており、人の手が極力かからない工夫が随所に見られるとのことです。
実際に、フロアに人間のスタッフはほとんどおらず、あらゆる場所をカメラで24時間監視しており、何かあったときには常時待機しているスタッフが対応するそうですが、ロボットだけというのも何となく不安に感じることも。
誤作動を起こしてしまうのではないかという不安もあれば、マニュアル通りにしか動けないのではという懸念もあるでしょう。
いや、マニュアル通りにしか動けないというのは懸念というより、事実としてすでに目の前に起きていることでしょう。
そして、そこが人間が介在することの価値につながるということは明白なことです。
しかし、私が様々なサービスを受けていて、「人間によるサービスも“マニュアル通りにしか動けない”」と感じることが少なくありません。
特に感じるのが、電話でのコンタクトセンターなどの顔の見えない業務において。
ある大手の通信会社が、フランチャイズ店舗の育成・支援で有名な外食サービスを展開する企業の役員を、講演会の講師として呼んだということを聞きました。
聴講者は「人が対応しているから、血が通った対応ができている」という先入観に陥っていたと、自社を省みる方が多かったようです。
今後、あらゆる分野で人の手からロボットに変わっていきます。
その中でも、人間だからできることは多く残るでしょう。
ただし、本当にその仕事が人間の能力を発揮しているものであるかどうかは、別の話です。
人が行っていた業務を自動化して、コスト的な付加価値を高めることは重要なビジネスチャンスです。
しかし、もし、現状で人が行っている業務が簡単にロボットに変わってしまうようですと、その業務は、マニュアル通りの単純作業になっている可能性があります。
サービスの標準化という点では良いかもしれませんが、人が対応することによるサービスの魅力を最大限に発揮できていないとも言えます。
人が、人としての力を発揮しているか?
今後の企業発展において重要な投げかけになると思います。