■学んだことを復習するのは、覚えるためではない。
「学んだことを復習するのは、覚えるためではない。何回も復習するうちに、新しい発見があるからだ。」
ユダヤの格言です。
非常に示唆に富む言葉で、スポーツ、勉強、料理、音楽。
様々な分野で、言えることと感じます。
そして、仕事においても。
同じ仕事をしているようで、毎日新しい発見があるものです。
もちろん、思考停止状態で仕事をこなしているだけでは、そのような発見はありませんが。
■ 「多読」よりも「多度読」
「多度読」 というのは、ある人の造語です。
様々な本を読んで、浅く色々なことを知っている「多読」よりも、「これは!」と思える本を繰り返し読む「多度読」 の方が血となり肉となる。
そして、自分というものを作り、生き方を安定させ、心安らかになるというのです。
たしかに、同じ本を1回目と2回目に読んだ時では、気づきが異なる経験は私にもあります。
自分の考えが変わっていることもあれば、張っているアンテナが変わっていることもあるでしょう。
これは本だけでなく、映画などにも言えることでしょう。
スタジオジブリの作品はテレビで何度も再放送されていますが、その度に高視聴率を得ます。
見るたびに発見・感動がある作品だからでしょう。
■同じ研修を受講することの価値
ある企業で管理職を対象にした研修を行っているのですが、時期をあけて何回にも分けて実施するような場合に、何かの手違いで同じ方が2回受講してしまうことも極稀にあります。
先日もそのようなことがあったのですが、再受講いただいた方にも、前回以上にご満足いただけました。
私たちも、回を重ねるたびにプログラムや言い回しを少しずつブラッシュアップしているのですが、この方に言っていただいて嬉しかったのが、「2回目に話を聞くと、気づきが変わった」という言葉です。
同じワークでも、改めて考えるとまた違ったアウトプットが出てきたそうです。
そういった自分の中での変化、気づきを、他の受講生の方にも共有され、同じグループの方にも良い影響を与えてくれていました。
あえて同じ研修を受講する人は多くはないでしょう。
また、あえて同じ研修受講を促す人事部も。
それは、社会人という限られた時間、企業という限られた予算の中で、できるだけ多くのことを学びたい、学んで欲しいという思いがあることは十分理解できます。
しかし、いくつかの事例を挙げて、言及しているように、「何回も復習するうちに、新しい発見がある」というのも1つの真理でしょう。
“カフェテリアプラン”“受け放題”といった形式の研修が多くなり、研修は受けやすくなり、またその種類もどんどん増えています。
一方で、色々なことを学びながらも、拡散しすぎて、その学びを活かすにまで至っていないことが少なくないとも感じます。
「良い話を聞いたな」ぐらいにしか。
同じ研修を定期的に受講する。
もしかしたら、これが企業研修の効果を高める方法かもしれない。
それによって、本人の気づきが広がるだけでなく、考える力が身に付く。
そして、組織内の共通認識も濃いものとなっていく。
そんな事を思うと同時に、企業研修を企画・運営する立場として、何度も受講したいと思える研修、何度受講しても学びのある研修。
そういったものを世の中に生み出していきたい、そう思った今日この頃です。