約10年ぶりに新卒採用を再開して、3年目となるある企業。
当初、新卒採用再開の話を聞いて一番動揺したのは各職場でした。
「新卒受け入れって何を準備すればいいんだよ」
「何を、どう教えればいいの?」
「そもそも会話が成り立つのかな?」
10数年ぶりともなれば、年齢構成上ぽっかりと20代が空いている職場環境。
「自分の部署に配属されないといいな」というのが本音でした。
そして、3年目となった今年。
4月に新人が入社し、来年の採用活動も行う中で、人事に寄せられる声は、
「次はうちの部署に配属してくれ」
「もっと採用数増やしてもいいんじゃないの?」
「次はどんな子?」
と前向きなものばかり。
「どいつもこいつも勝手なこと言いやがって。」
と、人事担当の方は言葉を漏らします。
笑みを浮かべながら。
当初の懸念は杞憂となったのは、入社してきた新卒社員が非常に素直だったことによるのかもしれません。
素直だからこそ、本人たちの成長を周囲も肌で感じられ、その成長をもっと後押ししたいと思うようになりました。
今では社員の皆様から
「新人はローテーションで色々な部署を見せたほうがいいと思います」」
「せっかく理念があるんだから、向き合う機会を作ったらいいじゃないか」
「自分たちももっとこういう仕事の進め方をしていったらどうだろう」
といった、提案も上がってきます。
3年前までなら、決して聞こえなかった声です。
新人の成長ためにという想いと、その成長に刺激を受けての意識の変化から寄せられるものです。
このような職場への影響があることを考えると、若手の採用(新卒だけでなくインターンシップなども)は、人的補充のみが目的でないことは明らかです。
「最初の一ヶ月なんて、それほど働いてないのに給与もらえていいな」
と、冗談を口にする方もいますが、見方を変えると、新人の「人件費は人件費に非ず」と言えるかもしれません。
職場の活性化や先輩社員の教育のための投資とも考えられるでしょう。
人が動く姿に人が動かされ、人が変わる姿によって人が変わる。
そんなことを改めて感じました。