STAP細胞の画期的な製作方法の発見で一躍脚光を浴びる、理化学研究所の小保方晴子さん。
学生時代からその才能は片鱗を見せてくれており、彼女の読書感想文はぜひ社会人のみなさんに読んでもらいたいような内容です。
私自身、ハッとさせられた内容だったので、冒頭部分を少しだけ紹介します。
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「ちいさな王様が教えてくれた 大人になるということ」
--松戸市立第六中2年・小保方晴子
私は大人になりたくない。日々感じていることがあるからだ。
それは、自分がだんだん小さくなっているということ。
もちろん体ではない。
夢や心の世界がである。現実を知れば知るほど小さくなっていくのだ。
私は、そんな現実から逃げたくて、受け入れられなくて、仕方がなかった。
夢を捨ててまで大人になる意味ってなんだろう。そんな問いが頭の中をかすめていた。
でも、私は答えを見つけた。
小さな王様が教えてくれた。
私はこの本をずっとずっと探していたような気がする。
「僕」と私は、似ているなと思った。
二人とも、押しつぶされそうな現実から、逃げることも、受け入れることもできずにいた。大人になるという事は、夢を捨て、現実を見つめる事だと思っていた。
でも、王様は、こう言った。
「おまえは、朝が来ると眠りに落ちて、自分がサラリーマンで一日中、仕事、仕事に追われている夢をみている。
そして、夜ベッドに入るとおまえはようやく目を覚まし一晩中、自分の本当の姿に戻れるのだ。よっぽどいいじゃないか、そのほうが」と。
私はこの時、夢があるから現実が見られるのだという事を教えられたような気がした。
(毎日新聞より)
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小保方さんの読書感想文から感じること
小保方さんは早稲田大学理工学部において微生物の研究を行っていましたが、大学院に進学すると専門分野を変更。
ここで初めて、再生医療の研究を開始し、STAP細胞の礎を築き始めたのです。
つまり、今の研究を始めてからわずか8年です。
専門分野を変更したきっかけは「今ならまだ変えられる。やりたいことをやりなさい」という指導教授の一言。
この言葉で「再生医療」という当初の夢を思い出し、方向転換を決めたそうです。
それからたった8年で偉業とも言える発見をした小保方さんの努力は並々ならぬものだったことでしょう。
周囲からの否定的な目も少なくなかったそうです。
それでも諦めずに続けてこれたのは、成し遂げたいことがあったからこそのことです。
今歩んでいる道の先に夢や志、やりたいことがあるから、今を頑張ろうと思えます。
これは、研究者だけに限ったことではありません。
逆に、目の前の仕事に追われるようだったら確かに魅力のない人生でしょう。
経営者が社員に、上司が部下に対して「自律性がない」と嘆いているとしたら、その社員や部下は、自分自身や会社の先が見えずに仕事をしているのかもしれません。
そして、先を示す手伝いをすることこそ経営者や上司の役割の一つと言えるでしょう。
現実を知れば知るほど夢が小さくなっていくと感じた。中学2年生の小保方さん。
同じように感じている社会人御方も多いのではないでしょうか。
夢や心材を持って入社した新入社員が、社会次経験を積むごとにそんな想いを失っていく。
それが現実というものだとしても、それでは寂しく思います。
そんな状態では、自律的に働くことなんて思えるはずもないでしょう。
人生も楽しくないでしょう。
世界をアッと言わせるような大志を持つ必要はありません。
「将来こうなりたいな」「こんな事ができるようになりたいな」と思えるような姿が少しでも持てれば、今目の前のことに向き合う姿勢も変わってきます。
夢を語り合える関係、可能性を広げられるような職場、一歩ずつ進んでいると感じられる仕事。
そんな組織作りが組織長には求められています。
「プレッシャーを感じるが、10年後、100年後の人類社会への貢献を意識して、一歩一歩進みたい」
小保方晴子(読売新聞より)