吉田松陰の言葉に、次のようなものがあります。
「乱は兵戦にも非ず、平は豊饒にも非ず、君君たり臣臣たり、父父たり子子たり、天下平なり」
「戦争が起きているから世の中が乱れているわけではない、豊作だから世の中が平和ということでもない、主君が主君の役目を果たし、家臣が家臣の役目を果たし、父親が父親の役目を果たし、子が子の役目を果たして初めて天下は治まる」
という意味です。
現代社会にも通じることでもあり、企業という組織にもあてはまると感じます。
業績が悪いから問題があるのではなく、業績がいいから安定しているということではありません。
経営者が経営者の役割を、管理職が管理職の役割を。
そして若手社員が若手社員の役割を全うしているかが重要です。
当たり前の事のように聞こえますが、果たして全ての企業でこれができているでしょうか。
各職場に目を向けてみると、立場が変わっても同じ仕事を同じやり方で続けてしまっている人が少なくありません。
もっと言うと、本来の自分の役割を考える機会なく、目の前の仕事を継続している方がほとんどなのかもしれません。
それぞれの役割は、環境や事業の状況によっても変化します。
よって、等級定義で定めきれるものでもなければ、研修で画一的に教えられるものでもありません。
若手社員の人であれば、上司がやるべきことを指示してくれるかもしれません。
いや、管理職でも経営者から、もしくは経営会議でやるべきことが定められるかもしれません。
しかし、そのような自分の役割に受身になってしまうことが、組織内の「乱」と言えるでしょう。
短期的な成果が求められ、目の前の業務で一杯いっぱいになっている状況はいたるところで見られます。
ただ、そのような現状に憂いているだけでは何も変わりません。
そのような現状だからこそ、定期的に個々の“果たすべき役割”を考えさせる機会、ともに考える機会を仕組みとして作ることが重要です。
吉田松陰はこんな言葉も残しています。
夢なき者に理想なし、
理想なき者に計画なし、
計画なき者に実行なし、
実行なき者に成功なし。
故に、夢なき者に成功なし。
まずは、自分が何をしたいか、何をすべきかをはっきりさせることから始まります。