アリは進化の過程において、あえて“ひねくれ者”を残していると言われています。
集団行動から逸脱する“ひねくれアリ”が何%かの確率で生まれる生態系が、アリの集団行動に大きな影響を与えています。
<アリの行列>
一匹のアリが餌を見つけ巣に持ち帰るとき、仲間を引きつけるフェロモンを出すそうです。
これによって、よく目にする“アリの行列”が生まれます。
しかし、そのルートは最初のアリが通ったというものだけであって、必ずしも最適なルートであるとは限りません。
そんな中、ルールから外れて別ルートを取ろうとする“ひねくれアリ”が出現します。
“ひねくれアリ”がつくったルートが既存のものより短いようであると、フェロモンがより強く残り、他のアリもそのルートを選ぶようになるそうです。
文字通り“道を外れた行動”が集団行動の効率を高めているのです。
この“ひねくれアリ”のように、異質なものは組織にとって、新たなものを創造するきっかけとなります。
<異質なものの存在>
職場に馴染むことを第一に考え、採用や配置の際に同質な人材を集めてしまうことが少なくありません。
同質な人同士の集まりは一見効率が良いように思えますが、新しい知識や考え方が得られにくいと言えます。
その“一見効率が良い”状態は「コミュニケーションが凍っている状態」「組織が硬直化した状態」とも見ることができます。
それに対して、異なる経験や価値観を持った人からは、当然新しい知識を得ることができるだけではなく、斬新なアイデアや発想をもたらしてくれるでしょう。
異質なものを受け入れる過程では、確かに混乱もあるでしょう。
しかし、その混乱こそが刺激となり、組織の創造性を高めます。
最近の新卒採用では、例年なら不採用にする人材をあえて採用する企業もあるようです。
そのような人材が、長期的に見ると新事業のきっかけを生むことや、新人同期の中でも大きな刺激をもたらすことが狙いです。
このような異質なものによる刺激を“ゆらぎ”と言います。
“ゆらぎ”を作る方法は、採用や配置といった人的資源のみにものだけはありません。
指示の出し方を変える、仕事の進め方を変える、仕事の時間帯を変えるなど様々なアプローチで“ゆらぎ”を作り出すことが可能です。
ただ、人が変わることによって、指示の出し方が変わる、仕事の進め方が変わる、仕事の時間帯が変わることを考えると、異質とも言える人材の存在は“ゆらぎ”を生む大きな要素と言えるでしょう。
採用や人員配置を考えるこの時期、あえて“ゆらぎ”を作り出すことを検討されてはいかがでしょうか。