日記というか、ひとり言。

散歩をしていて、スポーツ見ていて、映画を見ていて、漫画を読んでいて思ったこと。

人事異動のススメ

 

「6月1日づけで異動」

そんな辞令を受け、新天地で奮闘している方も多い時期だと思います。

辞令を受けたとき、「やった!異動だ」と思った方もいることでしょう。

しかし、それ以上に「せっかく慣れしたしんだ仕事、職場なのに…」と

思った方も多いのではないでしょうか。

 

今回の異動をマイナスに感じた方は

「自分がいなくなったら今の業務は回らない」

「他の部署に行ったら、今まで経験してきたことが無になってしまう」

「会社の都合しか考えていない…」

と考えられたかもしれません。

 

「会社の都合」と言えば、その通りです。

会社の指示はほぼ全て会社の都合です。

基本的には、異動に関しても、経営的な観点行っていることです。

 

「今の職場で人間関係がこじれたから、問題を起こしたから、異動させる」という理由も時にはあるでしょうが、異動とは全社で業務が円滑に推進され るために適正と思われる人員配置を行っているものなのです。

 

ただし、異動は単なる欠員補充や業務拡大による増員のためのみの目的で行っているものではありません。

人事異動によって、本人・職場にとってプラスになることは多くの観点から考えられます。

 


人事異動のススメ」と題しましたが、今回は組織において人の流動性 あることのメリットについて考えていきたいと思います。

 

ざっと思いつく限りでも下記のような観点で考えることができます。

 

・異動する本人の仕事の幅が広がる

全体最適の視点を持った人材を育てられる

・ノウハウが人ではなく、組織に溜まる

・異動元の職場の成長機会となる

・異動先の職場の成長機会となる

・組織間での相乗効果が生まれる

 

1つひとつ見ていきましょう。

 

・異動する本人の仕事の幅が広がる

同じ職種であったとしても、職場が変わるだけで、進め方が変わることが多くあります。

これまでのやり方との違いに戸惑うこともあるでしょうが、それらを自分の中で消化することで、今までの無駄を見つけ、より良い業務  の進め方を見出すことにつながります。

 違う上司のもとに就くことで、様々なマネジメントスタイルを受けること も1つの学びと言えるでしょう。


 図1

 

全体最適の視点を持った人材を育てられる

職種が変わることも時にはあるでしょうが、それに仕事の幅を広がるという前向きな考え方をすることができます。

しかし、会社としては「色々なことができる人材を育成する」ということは副次的なものではないでしょうか。異動を行う会社が真に求めているのは 「幅広い組織を見渡した判断ができる人材を育成することだと、私は考えます。

上位の管理職であっても自分の部署のことしか考えられない管理職の方が多いと聞きます。

今回のテーマである異動に関しても、優秀な社員は自分の手元に置いておきたいと考えることは普通でしょう。

しかし、バリューチェーンを考えると、どこかの部門が成果を上げるだけでは、会社としての利益にはつながりません。

部分最適ではなく、全体最適の視点でものごとを考えることの人材を育てるにも 異動は1つの効果的な手段と考えられます。

 

・ノウハウが人ではなく、組織に溜まる

異動には引継ぎがつきものです。ときには引継ぎ資料を作成することに膨大な時間を費やすことも少なくないかもしれません。

そうなってしまうと本末転倒とも言えますが、他の人に伝えられるレベルに落とし込むことは組織として非常に重要なことです。

 先日ある経営者の方から、こんな話をいただきました。
 
 「集団というのは個人の能力に頼っていて、個人一人がリプレイスしたらダメになる。

組織というのは個人の役割がはっきりしていて、その個人がリプレイスしても大丈夫な状態。」

なるほど、人が変わったからと言って、サービスの質が変わらないような状態にあることは企業としても優位性を保てる点にもなります。

 

・異動元の職場の成長機会となる

かなり前になりますが、NHKの『プロフェッショナル』という番組で、株式会社ディー・エヌ・エーの南場社長が「大黒柱だから、抜く」という表現をしていました。解説にはこうあります。


変化の激しい携帯ネットビジネスの世界。

 南場は、めまぐるしく変わる状況に機敏に対応するため、頻繁に人事異動を行う。

その時、南場は、そのチームの大黒柱である、皆が頼りにしているエース社員を躊躇(ちゅうちょ)なく引き抜く。

すると、残されたチームのメンバーたちは、穴を埋めるために必死で仕事をし、次の大黒柱が生まれる。

常に甘えられない状態におくことで社員たちを育てる、南場一流の人材育成術だ。

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・異動先の職場の成長機会となる

先ほどとは逆ですね。

例えば、マネジメント能力は高いが業務は知らない管理職が自分の上司に就いたとき、それを説明できるように業務を整理する必要があります。

ときには、ある人は管理職補佐としての仕事面での職場の管理を求められるかもしれません。

それこそが、役割の機会創出になり、次の管理職を育ててきます。

また、上司が変われば、マネジメントが変わり、仕事の進め方も変わる。

職場としてこれまで慣例だった無駄や、非効率なプロセスを見つけることにもなるでしょう。


・組織間での相乗効果が生まれる
組織間の交流はあるべきとは言いつつも、意外と見られないことが実状です。

かし、人が異動することによって、前の部署での仕事を今の部署での仕事と結び付けることで、イノベーティブな発想が生まれてくることも期待できます。

異動してきた人自身が、パイプ役となることで、今までにない相乗効果が生まれるかもしれません。

よく伺うのが、直接部門と間接部門の壁。

「人事は何をやっているのかわからない」

「総務は頭が固すぎる」

といった声を伺いますが、直接部門である現場から人事や総務に人を異動していくことで、透明制を持った管理部門にしていこうといった動きを行った企業がありました。

結果として管理部門との壁が少なくなり、そこへの不満が少なったことや、管理部門にも利益に貢献する視点をもった目標を立てるようになったという 変化を聞いています。

 

人事異動が組織に貢献する観点をバラバラとあげましたが、このような観点は、ジョブローテーションのように計画的なものや、プロ野球のFA制度のような自己申告のもの、そして採用・退職といった会社外も含めた人の出入りにおいても、持ち得ることができる観点です。

 

もちろん職種が変わることにより、仕事を理解するまでは多少パフォーマンスが下がることも考えられますので、その際の処遇(等級や報酬など)をどう対応するべきかを考えておかなければなりません。

また、配置の際、受け入れ側としては、異動してきた社員フォローができる体制づくりに尽力することも必要です。

現場マネージャーによる日常のケア、人事によるヒアリングやフォロー面談など、 現場と人事でうまく連携しながら社員の声を汲み取り、現場への定着と早期戦力化をフォローしていくことが求められるでしょう。

 

異動やローテーションによるはマイナス面がないとは言い切れませんし、そのための組織体制を整える必要もあります。

しかし、人の流動性は、健全な組織成長のために決して欠かすことのできないことだと私は考えます。