「他人のことは行動で判断するのに、自分のことは決意で判断することがよくある。
しかし、行動を伴わない決意は、期待してくれている人に対する裏切りでしかない。」
アンディ・アンドルーズ氏の書いた『希望をはこぶ人』からの抜粋です。
「決意」。
4月という新しい季節を迎えるにあたり、多くの人が心に留める、そして口にすることが多いこの言葉。
でも、決意が決意のままってこと、結構あるんですよね。
悲しいかな、恥ずかしいかな。
翌日には、、、一ヵ月後には、、、半年後には、、、という感じで。
決意と行動は確かに別物。
「やろうと思っていた」「やるつもりだった」「決めていたけど」。
流行語大賞には選ばれずとも、実は一番良く聴く言葉だったりします。
それほど、行動に移すっていうことが難しいものであるということ。
ところが、面白いことに、行動が伴う人って、決意がないんですよ。
あ、ちょっと語弊がありますかね。
まるで、決意なんてものがないかのように、さらっと行動してるんですよ。
「決意」って、なんかかっこいい言葉なんです。
『決意の朝に』なんて曲名、ものすごくカッコいいですよね。
まぁ、この曲を歌っているようだと、だいたい朝方になっているのですが。
「決意」という言葉は、ものすごくポジティブに感じるんですが、でも、、でも、、、
行動をネガティブなイメージにしちゃったりしませんか?
「決意」って重いんです。
そうすると、体が重くなっちゃうんです。
そうなると、行動できなくなっちゃうんです。
「明日の朝、走るぞ!」って決めて寝ると、朝金縛りにあったかのように、体が重いことありませんか?
逆に、「明日の朝、走れたら走ろう」くらいの方が、目覚めが良かったり。
結婚だって、「決意」なんて言葉を持ち出されるから、尻込んでしまう人がいるのだと思います。
「やらなきゃ」という想いが脳にプレッシャーを与えているのです。
人生には、決意しなくてはいけないシチュエーションはあると思うし、その分悩まないといけないこともあります。
でも、決めようと思って、悩めば悩むほどネガティブな理由もたくさん出てくる。
そして、いつの間にか、できない理由を並べ立ててしまっていることも。
映画化もされた漫画『脳内ポイズンベリー』。
脳内で、理性・本能・衝動・ポジティブ・ネガティブ・記憶が擬人化して会議するっていうシナリオですが、あれなんて、まさにそうですよね。
言いたいことはですね、すごく気軽に言うと、「取り敢えずやっちゃいなよ」ということ。
言い換えると、「決意する間に行動してみたら?」ということ。
「4月1日からあれをやろう」って決意するのは大事なようなんですけど、それじゃ行動にはつながらない。
行動する人っていうのは、4月1日を待たずに、何か始めている。
もしくは、そのために準備をしている。
「こんなの面白そうですよね」「こんなことやってみたいんですが」と聞いてくるのではなく、「こんなこと、やってみたんですけど」と言ってくるような。
少しでも行動してみることで、感触がつかめて、次の行動につながる。
重く決意していないから、「うまくいかないな」と思ったら、すぐにやめることができる。
違うやり方を模索できる。
脳科学的にも「取り敢えずやっちゃう」ことは重要だと言われています。
行動することで、側坐核って言うところが刺激されて、ドーパミンが分泌されるとのこと。
矛盾にも感じますが、「やる気をだすには、まず、行動すること」ということです。
さらに、その行動を見て、周囲も感化されて行動するようになる。
お返しのように、その人の行動に自分も感化されて、また行動するようになる。
「取り敢えずやっちゃう」ことがプラスのサイクルを生み出していきます。
そして、それは個人だけでなく、組織にも言えること。
会議が多い会社、稟議が通るまでが長い会社っていうのは、まさに決めるまでが長い。
そういう会社は結局、前例主義になっていることが多いものです。
新しいものを生み出すことが多い会社は、すべからく「取り敢えずやっちゃう」精神があります。
さて、冒頭のアンディ・アンドルーズ氏の本の言葉には前置きがあります。
—————————–
「五羽のカモメが防波堤にとまっている。そのうちの一羽が飛び立つことを決意した。残っているのは何羽だい?」
「四羽です。」
「そうじゃない。五羽だよ。飛び立とうと決意することと、実際に飛び立つことはまったく別物だからね。」
「いいかね? 誤解されがちだが、決意そのものには何の力もないんだよ。
そのカモメは飛び立つことを決意したが、翼を広げて空を舞うまでは防波堤にとまったままだ。
残りのカモメとどこも違わない。
人間だって同じだよ。何かをしようと決意した人と、そんなことを考えてもいない人とでは何の違いもないんだ。」
—————————–
憶測ですが、飛び立つカモメは、飛び立つ決意をしていない。
脳と体で「飛び立とう」という約束はしているだろうけど、重く捉えてない。
そこに空があるから飛び立っただけなんですよね。
そして、一羽が飛び立つと、どうなるか。
きっと他の四羽も飛び立つようになるんじゃないかと思います。