イノベーション文化創造の一環として、ワイガヤ研修を行ってきました。
本質議論の中から未来価値を探求していくワイガヤ研修では、現場から学ぶことを1つのポイントとしています。
今回も秋葉原や新宿、表参道など人が多く集まる場所に出て行って、価値を探求するフィールドワークを行ってきました。
「サラリーマンの年配の男性二人組が少ない」
「コリアンストリートは年配の女性が多いかと思っていたら、若い人も多い」
など、現場を見ることで初めて気づくも多く、そこから人が何に対して価値を感じるのかを探っていきます。
秋葉原に行ったグループからは、こんな声が出ました。
「普段コミュニケーションが苦手そうなオタクっぽい人達が、秋葉原に来るとよくわからない言葉で饒舌に会話をしていた。」
その共有から研修会場はドッと笑いに包まれましたが、一方で「確かに」と思う内容でした。
(メイドカフェで提供されるカレーライス)
普段の生活ではいわゆる「ネクラ」と自他共に思っている人たちが、秋葉原に来ると生き生きしています。
そこには、AKIB48などアイドルや、“萌え文化”の代表であるメイドカフェが人を惹きつけていることは言うまでもないでしょう。
そしてゲームやAV機器など学校の友人では通じない会話がこの場であれば、ツーカーで通じる、そんな心地良さが安心感につながっていることも一つの要因と感じます。
この、自分の言葉が通じることによる安心感。
これは組織において非常に重要なものです。
そして、それは関心やテーマによってはもちろん、先述した、“周囲にとっては、よくわからない言葉”によっても生み出されます。
これらを共通言語と呼びます。
共通言語は企業内においては、理念・行動指針やマーケティング、営業プロセス、人事制度など至るところで見ることができ、自分の言葉が相手に通じるという安心感とともに、ときには自分たちの中だけで通じるという組織内の連帯感も醸成します。
秋葉原などに集まる若者は、この場だからこそ通じる言葉を使うことにも喜び・居心地の良さを感じているのではないかと私は思います。
だからこそ、メール上のコミュニケーションで友達同士でしか通用しないような表現が生まれるのではないでしょうか。
企業内においても共通言語をつくることが、一体感を生む一つの手です。
企業理念はその1つと言えるでしょう。
もちろん、それは良い面も悪い面も両方に作用することを留意しておく必要があります。
肯定的な共通言語は肯定的な文化を作り、否定的な言葉が頻繁に使われるようになると、個人の思考も組織としての意思決定も否定的な傾向になりがちです。
たかが言葉、されど言葉。
言葉を育むことは、人や組織を育むことであると私は感じます。