以前あるテレビ番組で、元サッカー日本代表の中田英寿氏と、チェルシーの監督であるジョゼ・モウリーニョ氏の対談企画がありました。
この対談での中田氏の「この10年間でサッカー界で最も変わったことは?」という質問に対するモウリーニョ監督の答えが、大変興味深いものでした。
「最も変わったのは選手たちの考え方です。
野心、熱意、プロ意識、夢の実現、キャリアを切り開くこと。
昔は私が試合に挑む選手たちの士気を高める必要などなかったですし、野心を植えつける必要もなかったのですが、今の若手は考え方が違うので、彼らに合わせる必要があります。」
もちろん、所属する全選手にあてはまることではないでしょう。
ビッグクラブだからこその、激しいチーム内競争の中で自信を失ってしまうことや、試合に出られずに腐ってしまうことは想像できます。
ただそれでも、世界にトッププレイヤーであっても、「野心、熱意、プロ意識」というものを他者が植えつけなくてはならないということは驚きでした。
「部下のモチベーションを上司が上げる必要なんてない」
「モチベーションなんて、自分でどうにかするものだ」
「モチベーションなんかで仕事をするな」
という意見も少なくないでしょう。
しかし、一流選手を指揮する、一流の監督さえも、野心、熱意、プロ意識、夢の実現を育む必要が感じていることは事実です。
見方を変えれば、選手の内面にまで意識を向けているからこそ、「一流」と言われる監督となったとも言えます。
番組の無理矢理な編集もあり、インタビューはその後、戦術論に及びましたが、モウリーニョ氏は短い時間の中で非常に重要な見解を述べてくれたと思います。