組織のコンサルティングの第一段階で、現状分析のインタビューを行います。
そこで大事にしていることは、趣旨を丁寧に説明すること。
これは、複数名を対象に行うヒアリングワークショップやサーベイを実施するときも同じです。
私たちがコンサルティングに入る時というのは、変革の必要性があるときで、得てして職場に不安や不満があります。
そのような中で、いきなり外部のものが入ると、少なからずの動揺があるものです。
その動揺がいつの間にかさらなる不満にもつながってしまうことがあります。
だからこそ、インタビュー等においては、
・経営層の想い・展望
・これからやろうとしていること
・弊社の役割
を丁寧に説明します。
インタビューの裏目的はこの趣旨説明にあります。
趣旨を丁寧に説明する中で、理解を得て、味方を増やしていく。
さらに社員の当事者意識も高めていくことが狙いです。
大概の人事施策というのは現場の社員による運用が鍵となっているためです。
一方で、「人事部で組織変革を進めていたがうまくいかなかったのでお願いしたい」という駆け込み依頼もあります。
話を聞いてみると、「良くしようと思ってやっていることがことごとく不評に終わる」と言います。
そのような場合は、社員の理解を得ようとする姿勢が少なかったり、一方的であったりすることがほとんどです。
特に危ういのがサーベイです。
突然、「○日までに回答してください」というメールが回ってきて答えさせられる。
WEB上でサーベイをとることは、実施する側としては手間が少なく、「受ける方もそれほどの手間でないだろう」と思い、簡単なアナウンスで済ませてしまうことがあります。
たしかに回答はほんの数十分であるのですが、この軽率さが「この忙しい時に」と反感を持つきっかけになってしまいます。
幹部層や管理職層には趣旨を丁寧に説明していることは多いのですが、人事はそこで安心しては危険です。
上の人が現場の社員に趣旨を伝えているということはほとんどないためです。
実際私たちがインタビューをしていても、下の階層の人ほど理解がなくその場にやってきます。
階層が多くなるほど、伝達事項の質が薄くなるのは組織の常です。
「最初が肝心」と言いますが、この言葉に尽きるでしょう。
組織変革を進める際に、初めの発信をどれだけ重要と考えられるかが、組織変革成功の可否を分ける大事なポイントです。