ある企業の管理職研修の事前フォローとして、個別面談を行いました。
研修での気づきをより濃いものにするための事前準備ではありますが、面談で聞くテーマは多岐にわたります。
「ご家族からどのような存在と思われていますか?」
「お子さんを育てる上で意識していることはありますか?」
そんなプライベートな話も。
このような質問をしていて、良く聞く答えが、
「子どもには人に迷惑をかけない子には育ってもらいたい」
というものです。
もちろん、謙遜もあると思うのですが、多くの方がこの言葉を口にします。
「人に迷惑はかけないように」
日本人の美徳とも言える考え方なのかもしれません。
しかし、これこそが、新しいものが生まれにくい文化を形成しているのではないかと、ふと思いました。
「人に迷惑はかけないように」という教育方針が悪いのではありません。
ただ、なんとなく、減点主義はここから始まっているのではないかと感じます。
「人に喜んでもらえる人間になりなさい」という子育てをしている家庭がどれくらいあるものなのかと。
「~してはいけない」という制約型の環境で育ってきた中で、社会人になって「自由に発想しろ」「自分で考えて動け」と急に言われても、難しいのかもしれません。
その他、学校の校則にもその様な傾向は感じられます
同じフォーマット、習慣、質問内容に縛られている就職活動も、減点主義による関門が目白押しです。
これらのことは私の肌感覚、仮説であるので、「実際は違う」ということは多々あるでしょう。
一方で、同じ感覚を持ち、すでに学校教育にテコ入れしている学校・機関もあります。
ただ、家庭教育という出発点に関してはなかなか動きが見られません。
企業活動にイノベーションを求める経営者や人材育成担当者の方は、根本から新たなものが生まれにくい土壌で社員が育ってきたことを認識すること。
採用・教育・評価等の抜本的な見直しが必要と考えられます。
中途半端な育成では意味がないと。