先週、あるメーカーにてイノベーションに関する研修を行ってきました。
世界初の量産型エアバックを開発した、元ホンダの小林三郎氏を特別講師として招き、実体験から、イノベーションを生み出す組織の要素、ビジネスリーダーのあるべき姿を明らかにしていきます。
「顧客の声を拾うだけでは、イノベーションは生まれない。ただの改善にとどまる。
顧客自身も自分達が本当に求めていることをわかっていない」
「10人中9人が賛成したら、Too lateで研究する意味が無い。
むしろ9人が反対する技術の中にダイヤがある」
といった内容など刺激的な話が盛りだくさんです。
「イノベーション」と言うと製造業に求められる視点のようにも感じますが、「今までに無い発想で新たしい価値を生み出す」姿勢というものは、どの業界にも求められることでしょう。
そして、それは私達、組織人事の領域においても同じことです。
世の中の変化とは、経済の変化であり、文化の変化であり、ビジネスモデルの変化です。
そう考えると、私達、組織人事の領域こそ、イノベーションとも言える変化が求められていると言えるかもしれません。
組織人事の領域では、「タレントマネジメント」「ワーク・ライフ・バランス」など新しい言葉は次々に生み出されています。
しかし、それはあたかも流行語のようなもので、同じ概念を言葉を変えて使っているに過ぎない場合が多いものです。
人事制度も、その変化しないものの1つであると言えるでしょう。
年功主義、能力主義、成果主義、ポスト成果主義など、一見時代の流れとともに、人事制度も変化してきているようにも感じますが、本質は全く変わっていない。
依然として、会社の定めた等級定義の中に社員を当て込み、一律の価値基準をもうけながらも、結局は評価者によって甘辛のつく評価を行っている企業が多いのではないでしょうか。
もちろん、このような枠組は多くに企業から求められているものであり、組織の統制をとっていくにためには、効果的なものです。
しかし、世の中から求められているからといって、それが真の価値ということではありません。
「問題は、その問題を引き起こした考え方と同じ考え方をしているうちは解けない」
とアインシュタインが言っているように、「等級」「評価」「報酬」といった、スタンダードな枠組みの中で人事制度を考えている限りは、今の人事制度が引き起こした組織課題は解決されないかもしれません。
「何が正解か」はっきりと見えているわけではありませんし、「正解」なんて見つからないものでしょう。
ただ、企業の成長を支える仕事をしている以上、その成長に負けないスピードで、自分たちのサービスも、考え方も、そして自分自身も進化させていかなくてはならない。
そう、改めて考えた時間でした。