心が変われば態度が変わる
態度が変われば行動が変わる
行動が変われば習慣が変わる
習慣が変われば人格が変わる
人格が変われば運命が変わる
運命が変われば人生が変わる
という有名なあの言葉。
元楽天の野村監督も良く使う表現ですね。
私自身も好きな言葉なのですが、それが実際に体現され、大きな成果に結びついたエピソードが あったのでご紹介します。
昨年の夏、甲子園で優勝した興南高校野球部。
トルネード投法の島袋君を中心に磐石の戦いぶりで全国を制したあのチームが、実は3ヶ月前の春には とても甲子園なんて狙えるチームではなかったのです。
そんなチーム状況の中で就任し、文字通り、チームを優勝まで導いた我喜屋監督の言葉です。
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興南高校に来た3年前、 最初はアパート住まいをしていたんです。
でも子供たちの心が見えない。
近寄らないと見えない。
それで寮に移り住み、24時間一緒に生活しているうちに、だいたい分かってきたんです。
このままこの子たちを世の中に出してもダメだと。
26年間、甲子園に出ていない理由もよく分かった。
だって、寝ないんだもん。
起きないんだもん。
食べないんだもん(笑)。
うまくなるわけがない。
そこでまず24四時間を徹底的に見直し、1日の出発点を朝六時にセットしました。
起床したら、15分間で洗顔、歯磨き、トイレを済ませて駐車場に集合。
その後、15分間散歩をさせるんですが、この散歩がうちの特徴なんです。
集団では歩かせない。
「読んで字の如く、“散って歩け”」と。
方角はどこでもいい。
その代わり、五感全部を働かせて、見て、聞いて、嗅いで、何かを感じて戻ってこい。
そしてそれを通じて感じたことを一分間でスピーチさせるわけです。
これを徹底して繰り返しているうち、 全員が自分の考えをはっきり話せるようになりました。
もう、沖縄の子は絶対喋りません(笑)。
だから新聞を読ませ、アナウンサーの喋り方を学ばせ、表現力を徹底的に鍛えていった。
するとだんだんできるようになってくる。
同じ道を歩いても、捉え方が全く違ってくる。
同じ桜の花を見ても、枝を見ても、何かを感じることができる。
これが野球には大事なんです。
感じる、気づく、ということは、 試合における、零コンマ何秒の世界を直感で掴むことができるということです。
多くを語らずとも、生きた会話ができるようになる。
第六感というやつですね。
我々は五感を絶えず活性化しているから、第六感が働くのは当たり前なんですよ。
そういう訓練をしたおかげで「反応野球」ができるようになった。
『致知』2010年12月号
特集「発心、決心、持続心」より