日記というか、ひとり言。

散歩をしていて、スポーツ見ていて、映画を見ていて、漫画を読んでいて思ったこと。

“学びの場”をプロデュースする

「教師の仕事は“学びの場”をプロデュースすること」



杉並区にある和田中学校の公開授業「よのなか科」を見学したことがあります。

(学生のころなので、もう10年近くも前です)

 

ご存知の方もいらっしゃると思いますが、「よのなか科」とは文化・金融経済・現代社会・政治・職業体験など通常の科目では教わらないような内容をグループワークを通じて学ぶ総合学習です。

その和田中学校に、もとリクルート藤原和博氏が着任されているときには「よのなか科」の授業が、一般にも公開されていました。

よのなか科

 

見学者も生徒のグループの輪に混じり一緒に授業を受けるため、見学者と言うより、生徒の一人と言ったほうが正しいでしょうか。

その分、生徒の変化や教育的瞬間を肌で感じることができるものでした。

 

公開授業のあとに講師を務めた藤原校長(当時)から、その授業の趣旨や学びのポイントを話していただきましたが、その話の中で今でも覚えているのが冒頭の言葉です。

 

「教師の仕事は“学びの場”をプロデュースすること」

 

教師の仕事は何かを教えることではなく、その何かに興味を持たせること学びたい気持ちにさせること、そして学ぶための環境を整えることが重要であるとのことでした。


今現在、教育に関わるビジネスに身を置く私にとって、自分の役割を表した言葉の1つとも言うことができます。

私達が研修の全体設計を行っていくにあたっては、大まかに言うと、下記のようなプロセスを踏んでいきます。

 

要件定義 → カリキュラム設計 → プログラム開発 → 実施 → 効果測定

 

各社様の課題を踏まえて、プログラム開発に取り組んでいきます。

しかし、プログラム開発を念入りに行うことは当然と言えば当然であり、私達はそれと同時に「どう場作りをしていくか」についてもじっくりと考えていきます。

ストーリー性のある流れのもと、

☆ 緊張感を和らげる仕掛け

☆ 自分の意見を言いたくなる工夫

☆ エポックメイキングともなるサプライズ企画

など“遊び心”をふんだんに盛り込むことで、受講生が前のめりに研修に取り組める企画・運営を心がけています。

 

“場作り”と聞くと講師の雰囲気やプレゼンテーション力に頼ってしまうように感じますが、逆にその講師の持っている力を十分に引き出すための仕掛けと言えるのです。

「講師と受講生の距離を近づける仕掛け」とも言えるかもしれません。

 

講師がどれだけ大切なことを言っていても、受講生に学ぶ意欲が低かったり、講師に対して斜に構えていたりすると、学習効果は高まりません。

 

また、どれだけ気づきの多いワークでも、“やらされ感”で取り組んでいてはその気づきは半分も得られないでしょう。

 

逆に、受講生が主体的にかつ楽しみながら取り組むことで、そこでの成長や気づきは、運営側の期待を大きく上回るものとなります。

 

その仕掛けは大掛かりなものである必要はありません。たとえば、

 

☆ アイスブレイク(リラックス×学び×互いを知る)

☆ 休憩時間の決め方 (ex.トランプの出た数字の分だけ休憩時間)

☆ ワークを行うペアの決め方 (ex.誕生日の近い人を探せ!)

☆ ワーク中のBGM (サバイバルシミュレーションワークなら…)

☆ 振り返りのやり方 (ex.付箋を使って、気づきを共有「リビジット」)

☆ 各プログラムのネーミング (ex.他人の気づきを盗む「スパイタイム!」)

☆ 事前課題の文面 (受講生への期待が伝わる文章を)
                           etc

一見すると「そんな小さいことは気にする必要がない」と思われることかもしれません。

しかし、「魂は細部に宿る」とも言うように、小さなことの積み重ねで人の心は惹きつけられていくものです。


講師の仕事は学んでほしいことを伝えることではありません。

言葉を伝えるのであれば、文章を読むだけでもできること。

 

その1つの言葉の中から10を考え100気づこうとする姿勢を受講生が持てる「“学びの場”のプロデュース」「場作り」が講師の本来の役割と言えるのではないでしょうか。