「市民に親しまれるひらがな名称にしよう!
今日から高知県庁の観光振興課は“おもてなし課”となります!」
有川浩原作、錦戸亮&堀北真希主演の映画『県庁おもてなし課』は、こんなくだりから始まります。
おもてなし課で張り切る錦戸亮演ずる掛水史貴は
「高知出身の有名人を“高知県親善大使”に任命して高知県のPRをしてもらおう。
さらに、親善大使特名刺を配ってもらい、裏は観光施設の割引券にしよう!」
というアイデアを思いつき、作家、吉門喬介(高良健吾)に親善大使を依頼し、快諾されます。
順風満帆に行くかと思いきや、観光施設等の反対等もあり、なかなか前には進みません。
そんな折、吉門喬介から一本の電話が。
「君が僕に電話してから34日たつんだよ。なぜ一度も電話してこない?
“親善大使”って企画もう無くなったの?
依頼だけで仕事が済んだ気になっているのが役人根性というやつだよ。
君たちに必要なものは“民間感覚”だよ。」
そんな県庁に作家、吉門はこうアドバイスします。(吉門喬介はなんだかんだ優しい人)
「いいかね。きみたちに教えてあげよう。
まず、女の子を一人入れることだ。公務員じゃない女の子ね。
彼女の指摘はどんなに小さなことでもちゃんと受け止めるように。
あと、“パンダ誘致計画”について調べるといいよ。」
そこで、総務部でアルバイト契約の切れる明神多紀(堀北真希)をスカウトして、準備万端!
おもてなし課は再スタートを切っていきます。
「明神多紀をスカウトしたことによって企画がうまく進でいく」と言うよりも「ラブコメの展開が進んでいく」という方が正確な気もするこの映画ですが、吉門喬介のアドバイスは的確であり、かつ役所以外の組織にも当てはまることだと思います。
何が?
どのような組織も同じ感覚、同じ意見の人間を集めたがるもの。
その方が衝突もなく議論は進むし、統率する立場のものからしてもマネジメントが容易になるためです。
でも、、、、衝突のない組織っていうのは変化のない組織です。
意見の衝突から新たな意見が生まれますし、衝突を厭わない組織こそ責任感の強い人間の集まりと言えます。
また、一見同じ意見のものが集まっている組織も、実は意見を言えないだけ、遠慮をしているだけとそれぞれの力を発揮できていないケースも少なくないんですよね。
組織活動が停滞している、組織として1+1=2以上の成果を求めるのであれば、異質な人材を登用することは効果的な手です。
経営評論家の大前研一氏は人が変わる方法に関して、こう言っています。
人間が変わる方法は3つしかない。
時間配分を変える、
住む場所を変える、
付き合う人を変える、
この3つの要素でしか人間は変わらない。
もっとも無意味なのは、「決意を新たにする」ことだ。
いやー、勉強になるお言葉。
方法を変えて考えると、今の組織にいる人とは異なる考え方やバックボーン人を登用することで、これまでとは違う仕事の進め方やアイデアが生まれるということ。
人の採用まではできないというのであれば、部門横断型のプロジェクトを発足させるなど、仕組み面で環境変化を促すのもよいでしょう。
大きな会社にいても、仕事をする相手っていうのは結構偏っているものですから。
異質と思わないメンバー同志でも、小さな違いに目を向けることが大切です。