ユーリイ・ガガーリン。
ほとんどの方がその名を聞いたことがあるでしょう。
旧ソ連の軍人であり、1961年に1人乗りの宇宙船ボストーク1号で、人類初の大気圏外を1周した人物です。
昨年末に公開された映画『ガガーリン 世界を変えた108分』。
ガガーリンが宇宙飛行した時間とちょうど同じ108分で、ガガーリンの半生が表されています。
ソ連の英雄となった彼は、凱旋後マスコミの引っ張りだことなり、宇宙飛行の翌年には日本にも訪問しています。
そのため、今でも映像とともに多くの写真が残されていますが、その表情は笑顔ばかりなんですね。
そう、ことごとく笑顔なんです。
当たり前と言えば当たり前にも感じます。
そういう写真ばかりが残っているというのもあるでしょう。
いや、ソ連は凛々しい顔ではなく、なぜ温和な笑顔の顔ばかりをマスコミに流したのか?
実は、この笑顔こそが、ソ連から宇宙飛行士に任命された一番の理由だったです。
ガガーリンは、訓練の成績は優秀でしたが、どの科目も一番になれませんでした。
しかし、いざチームを組むとなると、リーダーになるのはいつもガガーリンだったそうです。
いつも笑顔を絶やさない性格が、周囲から信頼を集めていたのでしょう。
笑顔は心身ともに健康であることの象徴であり、宇宙に行くことへの不安を微塵にも表情に出さず、ヒーローとなるために、リーダーであるために笑顔が素敵であることが求められました。
人類初の宇宙飛行士は、能力ではなく、性格も大きく関係したということです。
「人類初」。
この言葉には、偉業としての素晴らしさとともに、未知の恐怖も含まれています。
特に当時は、ソ連とアメリカが国家の威信をかけて、世界初の有人宇宙飛行を競い合っていたという事情があったため、半ば強引な計画や設計もあったことでしょう。
成功する確率はパーセンテージで表せるものではなかったと思います。
そこへの恐怖はガガーリンも同じで、宇宙へ飛び立つ直前、彼は家族に宛てて遺書を書いていました。
それでも、人前に立つと、彼は笑顔を絶やしませんでした。
笑顔がつくる安心感や信頼感。
これらは誰もが感じるところでしょう。
逆に、一人の表情がその場の空気をピリピリとしたものに変えてしまうこともあります。
笑顔でいること、ご機嫌でいること。
それがリーダーや職場の上司に求められる1つの能力なのではないかと思います。