研修でプレゼンを聞いていると、「一言で伝える」ということが重要だと改めて感じます。
もちろん、社内会議等でもそれは同じことが言えるのですが。
研修のように、数グループが連続してプレゼンする場面だと、余計に「端的に言うと?」と感じてしまいます。
決して、プレゼンテーションの上手い下手ではないんですね。
自分たちの言いたいことを一言で言い表せるかっていうことなんです。
ただ簡潔にまとめればいいというものではありません。
聞いている人が、「なるほど!」「面白い!」と思えるように伝える必要があります。
これはビジネスマンの基本と言えるかもしれませんが、案外難しいことのように感じます。
そして、この“一言力”はイノベーションにも重要な要素です。
新しいものを生み出す、新しい事業を進めるには、多くの人の協力が必要です。
まずは、その共感者=仲間集めから始まるでしょう。
そうなると、やっぱり「なるほど!」「面白い!」と興味を持ってもらえるように、伝える必要があるんですね。
例えば、
スティーブ・ジョブズの「1000曲をポケットに」。
ココ・シャネルの「女のからだを自由にする」。
サルマン・カーンの「世界は一つの教室になる」など。
iPodにしても、ファッションにしても、カーンアカデミーにしても、わかりやすいですよね。
こういうものは、コンセプト力とも言い換えられます。
ビジネスマンの基本であり、究極の奥義と言えるかもしれません。
ただし、このような力は一朝一夕で身につくものではありません。
車づくりにおいて、必ずコンセプトを打ち立てることで有名なホンダでは、かつて「一言で言ってなんだ?」という言葉が共通言語として飛び交っていたと言います。
コンセプト会議で頭を悩ませるだけでなく、日々の業務の中でも一言で伝える力が養われ、それがコンセプト思考力を高めることにつながっていたそうです。
新人にとっては、洗礼のようにも感じられ、一言で伝えるために、誰よりも理解しようとする、誰よりも考えることが促されます。
もちろん、その内容がどこかで聞いたことがあるような言葉であると「つまんねぇ!」と一掃されるため、言葉磨き、面白いものを探るアンテナ磨きも日常茶飯事だったようです。
結果として、「面白い!」と言われた車を世の中に多く発信してきました。
本田宗一郎が退いた後、ホンダは“一人の天才が”ではなく、“企業文化が”新しいものを生み出しきたんですね。
「ビジネスマンの基本」と書きましたが、新事業開発を担う人以外にもあてはまることは言わずもがなです。
業務を円滑に進めるためにも、「一言で伝える」力というのは必要になってきます。
そして、誰よりもビジョンを示すリーダーにこそ、この力が求められます。