「研修での学びよりも、現場で学ぶことのほうが多い。」
よく耳にしそうなことではありますが、
「だから、研修はいらない。」
という話にもならないでしょう。
にもかかわらず、
「うちの社員は現場で学んでいるから大丈夫。」
「人は勝手に育つもの。弊社は成長意欲の高い人材を採用していますから。」
といった声が少なくないことも事実です。
実際に意味のない研修もあることでしょう。
研修を実施すること自体が目的となってしまっているものはその最たるものです。
そもそも何のために「研修」という業務外で学ぶ場を設ける必要があるのでしょうか。
研修の目的を整理すると下記の3つに分けることができます。
■業務の精度を高める
スキル研修等はそれにあたります。
ある程度の反復が必要なものであれば、なおさらでしょう。
「これができないと仕事にならない」というものならば、現場外で一人の講師が数十人を相手にした方が効率的です。
■日々の変化を内省する
繰り返しになりますが、仕事を通じて学ぶことは大きなものがあります。
しかし、そこでの学びが再現性のあるものにならなければ意味がありません。
ときに業務に忙殺され、学びを整理しきれず日々を過ごしてしまうため、同じミスや非効率なやり方を繰り返してしまいます。
早い時期から多くのことを任され、成長が早いと言われているベンチャー企業に多い傾向かもしれません。
仕事の進め方、人との接し方、人生の考え方。
基本的と思われることこそ、一度立ち止まって見返すことで新たな気づきがあります。
■見えていない視野へ広げる
上司は部下に、同じ業務をずっと続けて欲しいわけではありません。
組織内で立場が変わることがあれば、ビジネス自体が変わることもあります。
そして、同じ仕事であっても新たな付加価値を付けて欲しいものです。
一度業務から離れ、日々の業務だけでは持つことができない視点を持たせることが重要です。
他にも、副次的な目的としては、同じ立場の者同士の協力関係の構築やガス抜きの意味合いもあると思います。
また、経営会議で話し合うべき内容を外部のファシリテーターのもとでやってしまおうというケースもあります。
いずれにせよ、「研修か実学か」といった二律背反の考え方ではなく、
・業務での学びを再現性のあるものにするための研修
・業務でより多くのことを吸収できるようになるための研修
といった、研修と実学が相乗効果を発揮するものとして考えることが重要であるということです。
その上で、研修プログラムやOJTを考えていくことで、研修も意味のあるものとなってきます。