管理職の必須マネジメントスキルとして、よくコーチングが取り上げられます。
私も管理職研修の中でコーチングのプログラムを設計することは、少なくありません。
答えを伝えるのではなく、考えさせる、考えを引き出すことで、部下の自律性を育むコミュニケーション。
この、コーチングによって部下の考えを引き出そうとすることは、すばらしいことです。
でも、時にそれが目的になってしまい、引き出すことに固執しすぎていることがあるように感じられます。
コーチングに固執してしまうことで、次のような弊害もあることを頭に入れておくことが重要です。
・部下の中にある答えに依存してしまうため、本人のやる気と経験次第で、上司の求める答えが出てこない。
・そんな中で、上司は目線をあげようと資するあまり、誘導尋問になってしまい、やらされ感が生まれる
・上記の結果として上司部下ともに、期待した答えが出てこないことで、ストレスを感じるコミュニケーションになってしまう。
最終的に上司の満足する答えにたどり着いたとしても、部下からすると、「それなら初めから言ってくれよ」と心の中で思う結果になってしまう。
コーチングは一手法であって、絶対的な武器でもなければ、引き出すことは目的でもありません。
相手のレベルや業務の状況に応じては、伝える、教えるといったことも必要であることは当然であるし、時には叱るということも管理職の役割です。