細かいことかもしれませんが、「自分の会社をどう呼んでいるか」から、その人のスタンスを感じます。
スタンス=会社との距離感が。
具体的に言うと、自社のことを「この会社は…」と語る人は、会社と一定の距離があるように感じます。
良く言うと、「客観的に見ている」とも表現できますが、少し寂しくも感じます。
悪く言うと、「他人事的に考えている」ように見えます。
もちろん、会社との距離感は人それぞれ自由です。
また、客観的に見られるからこそ危機感を持つこともできるでしょうし、会社に依存しないことも大事な姿勢です。
ただ、「誰が」「どの場で」言うかによっては、看過できないことでもあります。
企業で研修を実施すると、冒頭にその企業の方から一言いただくことが多いのですが、人事部長のときもあれば、役員の方のときもあります。
そういった時に、受講生の気合を入れるためのスピーチをいただけるのですが、
「この会社の社員はこういう傾向の人が多くて」
「この会社に来て1年になるけど、この会社は○○が弱いということがわかった」
という言い方だと、どうしても距離感を感じてしまいます。
傾向として、親会社からグループ会社に来た役員の方や、他社で実績を残して転籍してきた人事の方に見受けられます。
当事者意識を高めているつもりが、実は士気を下げてしまうことも。
話している方は、自分が何を話しているかはわかってはいても、どう表現しているかまでは認識できていません。
結果的に、伝えたいことが十分に伝わらないどころか、逆効果にまでなってしまっています。
そして、そういう姿勢は伝染していくんですね。
荒っぽく言うと“他人事”姿勢です。
言葉が伝染し、個々の姿勢に影響を与えていきます。
結果として、それが会社の文化・風土になってしまいます。
「自分の会社をどう呼んでいるか?」
小さなことなのです。
「そんなの気にする人の方が少ない」と思う人もいるくらい小さなことです。
しかし、だからこそ発言している本人は気づかないのです。
そして、小さなことだからこそ、すぐに直せることでもあります。
「この会社は」という表現は一つの例です。
これが気にならない人もいるでしょう。
一方で、その人の距離感は、内容や口調などからも伝わってきます。
自分の会社を客観的に見られることは大事なことです。
ただ、その表現が、聞いている人にとって「“他人事”に映っていないか?」と、自分自身を客観的に見ることは同じくらい大事なことです。