「人の己を知らざるを患(うれ)えず、人を知らざるを患うるなり。」
(不患人之不己知、患己不知人也)
「誰も私のことを評価してくれない」と悩んでいるけど、
逆に、自分が周りを認めていないことが問題でしょ。
というニュアンスの、孔子の『論語(学而)』の言葉ですが、私のヒーリングメッセージになっています。
これを思い出すと、冷静になれると言うか。
5月、新しい職場やクラスにも慣れてきた頃。
「なんで自分より、あの人の方が評価されてるんだ!」「俺とあいつはそんなに変わらないのに、なんであいつだけ…」
という気持ちも芽生えるころかもしれません。
そういう気持ち自体は否定しなくて良いと思うんですね。
周りに認められたいという思いは、人として自然な感情だと思います。
しかし、そういうときこそこの言葉を思い出せると、良いかもしれません。
「人の己を知らざるを患(うれ)えず、人を知らざるを患うるなり。」
これ、結構あると思うんです。
「誰も私のことを評価してくれない」と思ったとき、自分自身が周りの人を認めていないことが。
もしあなたが、周りから評価されている人を、「自分よりできない」と思ったとしたら。
まず、それに納得がいかないとしたら、それはあなたと周りとの評価基準がズレているのです。
相手が「自分よりできない」と思った時、その人はきっと、あなたと違う能力を活かしているはずです。
その能力が、どの環境、どの人間関係でも評価されるとは限らないが、少なくとも今の環境では評価されるもので、あなた自身はその能力をアピールできていない。
そして、あなたは今時点では、その能力が重要だと気づけていない。
これが、評価基準のズレです。
評価基準のズレを修正していくには、下記のようなことを意識するのが大事です。
●自分の持っているものを基準に考えるのではなく、今の周りの環境には何が求められるかを考える。
●自分と周囲との「差」ではなく「違い」に気づき、それを尊重する。
●人の所属する環境が1つではないこと理解する。
(会社では、飲み会で活躍する人、他部署からすると重宝される人、うちに帰ったら良いお父さんっていう人も大事なんです)
●評価基準は1対1の関係の中でも存在する(相手との関係性によって、基準が変わる)ことを理不尽と思わない。
●自分の能力を発揮していること、能力が活きていることは全くに別物。
ズレの修正は骨盤矯正のようなものです。
筋肉から変えていく場合もあれば、スッと一瞬で修正される場合もあります。
でも、意識していないと、またズレてきます。
ただ、「誰も私のことを評価してくれない」「なんで自分よりあの人の方が評価されてるんだ」と感じる人は、結構冷静な人だと思います。
こういう人は、評価基準のズレを自分の中で解決できると思います。
周囲の評価を誤解して、良いように捉えてしまう方がまずいです。
そして、もっと大事なことは、相手との比較の話ではありません。
もしあなたが、周りから評価されている人を、「自分よりできない」と思ったとしたら、、、
それはあなたが自分と比較している相手だけでなく、評価している周囲を認めていないっていうことなんですね。
そういう、感情というのは周囲に何となく伝わります。
何となく伝わったものが、そのまま周りからあなたに対する何となくの印象になります。
他の人ができるとかではなく、自分で自分の評判を下げることをしてしまっているのです。
これが、自分自身が周りの人を認めないこと、そしてそれに気づけないことの問題です。
そして、これが「不患人之不己知、患己不知人也」と言った孔子の真意ではないかと私は思います。
また、弟子に伝えながら、孔子が自分自身に言い聞かせていたことなのではないかと。
「誰も私のことを仕官させてくれないけど、実は私が世の中のことをわかってないのかな?」
こういうのを「返報性」と言うのですが、よくあることです。
「あの人とは仕事しにくいな」と思ったら、相手も同じことを思っていた。
「自分があの人に合わせてあげてる」と思ってたら、相手もお同じことを。
「あの人をフォローしている」と思っていたら、相手も同じことを。
上下関係、恋愛関係、親子関係、友人関係、ご近所付き合いなど、至る所であります。
だから、相手との関係性を変えたいと思ったら、謙虚になること。
「自分やってやってるぜ!」と思った時ほど、謙虚になること。
それが大事。