名著『7つの習慣』の中に「インサイド・アウト」という言葉が出てきます。
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インサイド・アウトとは、
まず最初に自分の内面を変化させること
それから自分の外側に影響を与えること
という原則です。
この順番は、逆にはなりません。
何故なら、私たちは私たち自身の作ったフィルターを通して、この世界を観察しているからです。
(中略)
行動分析学では、行動の原因は、私たちを取り巻く環境にあるとしています。その通りです。
ただ、言葉を使って思考する私たちは、環境に対して意味付けをしてしまいます。
それが好ましい出来事なのか、それとも嫌な出来事なのか、意味を持たせます。
行動の直後に良い変化を感じられれば積極的に、そうでないなら消極的に
なっていきますが、その行動の学習プロセスに私たちの思考は影響を与えます。
私たちは自分の内側(思考)を変えなければ、行動を変えることができないし、外側に対する影響力を持つこともできないのです。
常に、内から外へと変化しましょう。
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「自分の内側(思考)を変えなければ、行動を変えることができないし、外側に対する影響力を持つこともできない」という部分がポイントです。
この内容を講演で聞くと、下記の図をもって紹介してくれます。
「個人」が複数人集まると「人間関係」が生まれる。
そこになんらかの目的ができると、自ずと「マネジメント」が生まれ、その「マネジメント」が機能すると「組織」になる。
そういった四段階が組織にはあると言います。
ここで言う「組織」というのは、ルールや仕組み、業務プロセスなどの組織を形成するもののことを指します。
そして、何か問題を感じたときに、多くの人が、環境や周囲から変えようとする「アウトサイド・イン」で考えてしまいます。
「●●できない、それならルールを厳しくしよう」と考えるなど。
その方法は、一見合理的に感じますが、結局は抑止力で押さえ込んでいるようなものです。
そうなると、マネジメントは強制になり、人間関係には不信が生まれ、個人は二面性を持って作業をするようになります。
「やりたくないけど、強制だからやっている」という状態に。
「自分が変わる事が大事」と聞くと、使い古された“お題目”のようにも感じます。
しかし、外から変えようとすると、弊害が起きるということは意外と盲目になっていることかもしれません。
そして、私がこの話を聞いて思い出したのが、小学校四年生のときの理科の授業。
「天動説と地動説」です。
16世紀になり、コペルニクスらが、「地球が太陽の回りを回っている」と地動説を体系化して発表しましたが、ご存知の通り社会は猛反発。
「人々を惑わすわす大嘘つき」だと罵倒されました。
空を見れば太陽や星は東から出て西に沈みます。
地面が動いていることなどまったく感じません。
地球が止まっていて天が動いていると考えるのは当然です。
「地球の回りを太陽やわく星やそのほかの星々が回っている。」
これが、普通の感覚でした。
組織と個人の関係も同じものだと感じました。
自分が動いて、周囲の恩恵を受けることができる。
しかし、見回すと、周囲や環境が動いているように感じ、周囲や環境こそ動かしやすい者のように錯覚してしまいます。
色々と話が飛びますが、この錯覚こそが多くの管理職が陥っている状態と言えます。
「自分が変わる事が大事」ということに表面的に納得感を持つことができても、内心では「自分は変化している」「周りが変わらないと始まらない」と思ってしまっています。
天動説は1500年以上も定説となっていました。
それは、地球を太陽系を俯瞰してみることができれば、その解決はもっと早かったことは言うまでもありません。
自分の中の自分という常識をひっくり返すことは簡単ではないですが、私たちは自己を客観視することができます。
客観的に見て、フィードバックをくれる人もいることでしょう。
それらを通じた自分の中での「コペルニクス的転回」が、自分だけでなく周囲にも大きな影響を与えるはずです。